ロッテ福浦「幸せ」引退セレモニーで9度舞い さらば「幕張の安打製造機」 

[ 2019年9月24日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―1日本ハム ( 2019年9月23日    ZOZOマリン )

<ロ・日>ナインの手で胴上げされる福浦(撮影・長久保 豊)
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 「70番目の男」はついに伝説となった。今季最多3万343人が見守った引退セレモニー。目の前のビジョンには西武・松井稼頭央2軍監督、前巨人監督の高橋由伸氏、今季引退した元巨人・上原浩治氏ら、同学年の仲間からねぎらいの言葉が届いた。93年のドラフト7位、12球団で最後に名前を呼ばれたロッテ・福浦が、最後にバットを置いた。

 「ドラフト最下位指名で26年。ここまで来られて幸せだった」
 投手で入団し、1年目に打者転向。多くの支えの手に救われ、積み上げた2000安打。監督、コーチ、打撃投手、用具担当、マネジャー、広報、トレーナー、そしてファン。助けられた人たちの役職を並べたのは苦労人・福浦らしかった。

 チームはCS争いの真っ最中。前夜まで辞退するつもりだったが、井口監督の直電で腹を決めた。「7番・DH」で4打数無安打だったが、9回に一塁の守備に就き、2死から平沼のライナーにダイビング。「体が反応した」とウイニングボールをつかみ、最高の笑顔が浮かんだ。

 涙もあった。千葉市内の自宅を出る際、麻由美夫人と息子2人から手紙を渡された。球場のロッカールームで読むと涙腺が緩んだ。「家族は十分、支えてくれた。これからは接する時間を増やし、たくさん遊んであげたい」。勝負師がふと父の顔になった。

 この日は最大風速19メートル。背番号と同じ9度、胴上げされても涙はなかった。「涙は次の機会にとっておきます」。昨季2000安打を放った際の「井口監督を胴上げする」との約束実現へ――。今後は2軍コーチの顔に戻って、「第二の福浦」を育てる。 (福浦 健太郎)

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