【埼玉】花咲徳栄・中津原 1四球準完全ノーヒッター 快挙達成も「四球がもったいない」

[ 2019年7月19日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権 埼玉大会3回戦   花咲徳栄9-0正智深谷 ( 2019年7月18日    大宮公園 )

 ノーヒットノーランの快挙達成にも、ガッツポーズはなかった。この日100球目。最後の打者を空振り三振に仕留めると、花咲徳栄・中津原は少しはにかんだだけで、整列へ加わった。

 スコアボードは得点、安打ともに「0」。11奪三振、1四球だけの準完全試合。「(記録を)意識したら良くないのは分かっていた。一人一人集中して投げた。四球がもったいなかった」。そう言うと、左腕エースはようやく笑みを浮かべた。

 17年は守護神・清水(現中日)を擁し、埼玉県勢初の夏の全国制覇。昨夏もエース・野村(現日本ハム)を擁して4年連続甲子園出場を果たした。新チームは韮沢、井上と打線の評価が高い一方で、投手陣が課題だった。

 昨秋は県大会3回戦で10失点。今春は東農大三との準々決勝で7失点敗退。それまで上手投げだったが、サイドスローへの転向を命じられた。「有無を言わさなかった」と岩井隆監督。これが転機となった。「プライドもあったし、上でやりたいと思った。でも秋春と投手で負けたと言われて、もうやるしかない」。中津原も腹をくくった。

 最速は140キロから135キロまで落ちたが、「(フォームは)しっくりきた」。直球とスライダー、新たに習得したツーシームも効果的で、指揮官も「もうびっくり。まさかです」と驚いた。先輩たちから「1番」を引き継いだ男に、春までの姿はない。岩手では大船渡・佐々木が6回参考ながらノーヒットノーランを達成したが、「先を見て勝てるほど、埼玉は甘くない」と力を込めた。エースは目の前の試合だけに集中していく。

 ◆中津原 隼太(なかつはら・はやた)2001年(平13)7月5日生まれ、埼玉県出身の18歳。小5から野球を始め、中学時代は東村山シニアでプレー。花咲徳栄では2年秋からベンチ入りし、今春から背番号1。1メートル79、83キロ。左投げ左打ち。

 《埼玉大会24人目》花咲徳栄の中津原が3回戦・正智深谷戦で無安打無得点試合を達成。埼玉大会では15年に朝霞の田頭第希投手が3回戦・富士見戦で記録して以来24人目。完全試合の4人を含め過去27人おり、93年に春日部共栄の土肥義弘(元西武)、06年に鷲宮の増渕竜義(元ヤクルト)らが達成している。

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2019年7月19日のニュース