中日・松坂と若手の合同自主トレ 生かせるかは“弟子たち”の考え方次第

[ 2018年11月28日 10:37 ]

今年の1月、中日選手たちと合同自主トレをする松坂
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 プロ野球はオフになって、さまざまな球団の若手選手がオフの自主トレで、他球団の選手へ弟子入り志願を口にしている。一昔前と違って、球団の枠を超えるどころか、ほとんど交流すらない他球団の若手が、先輩や球団関係者のつてを使って願い出る時代だ。何かを変えたい、新しい可能性を知りたい――と理由は様々だろうが、球界全体の発展のために素晴らしいことだと考える。

 中日の松坂に対しても巨人の高田、そして楽天の安楽が合同トレーニングを願い出た。松坂は「自分のトレーニングをおろそかにしないようにする中で、時間があるのであれば」と語る。それは若手選手への気遣い、メッセージでもある。

 これまでも、自ら所属した球団の若手には「それぞれが体の特徴が違えば使い方も違う。同じことを真似をするのではなく、考え方を自分なりに採り入れることが大事。自分で考えること」と説いてきた。完全にコピーできたとしても、オリジナルは超えられない。何でも自分で試してみる。それは松坂がルーキー時代から変わらぬ信念だ。

 レッドソックスに移籍した1年目で、守護神のパペルボンが低いリリースポイントから伸びのある速球を投げていたのを見て、1年目から工夫をこらし、肘を下げて投げた。「完全に失敗でした」と苦笑いするが、本人は「僕のような、メジャーに入れば身長の低い選手はやってみる価値はあった。肘を下げて投げることは野球界ではタブーと言われますが、何か新しいことをやろうとするのに、僕は常識と非常識の線引きはしない」と後悔すらしていなかった。大型契約で結果が求められる移籍1年目であっても、トライ&エラーを繰り返した。

 当時、ジグソーパズルの話もしていた。「最初は100ピースで完成させようとしたけど、完成直前になると500ピースの方がもっときめ細かなものになるのではないかと考える。経験値が高まれば、やることは増える」。シンプルに原点回帰をするにしても、細部まで考え尽くした後で結論を出してきた。

 もし、合同自主トレが実現しても、一からすべてを伝えることは不可能だろう。若手選手がどれだけ目的意識を持ち、何かの「かけら」を持ち帰るか。そしてどう自身に採り入れ、最大化するかも、すべては弟子たちの考え方次第である。(記者コラム・倉橋 憲史)

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2018年11月28日のニュース