阪神・矢野監督 虎再生へ決意「“よし、やってやるぞ”という気持ち」

[ 2018年10月19日 05:30 ]

就任会見で笑顔で質問に応える矢野新監督(撮影・後藤 正志)
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 【阪神・矢野新監督に聞く】

 ――今の率直な気持ちは。

 「本当に、今は初めてのことですから、不安や怖さ、そういうものがもちろんありますけど、監督をやらせていただくと決めてから、そういうものも、もちろんありますけど“よし、やってやるぞ”という気持ちに向いています。これから秋のキャンプ、春のキャンプ、オープン戦と行く中で、その不安や怖さというものが自信、期待に変わっていけるようにやっていければいいという気持ちになっています」

 ――監督就任決断の決め手は。

 「今年、2軍監督をやらせていただいて、僕は選手に“チャレンジしようぜ。今、三振しても次の打席で取り返せばいいやないか”。投手には“打たれても次の打者を抑えればいいやないか”と。終わったことに引っ張られるんじゃなくて、みんな前を向いて、次の打席で打てばいいし、抑えればいいし。日々、選手にはそういったメンタルの部分を伝えてきましたが、そう言っている自分が今回、このような話をいただいて逃げるというか、やらないという選択をした時に選手に対して僕の言ってきたことがウソみたいになってしまう。僕もチャレンジして挑戦するべきやな…という風に思ったのが一番大きいですね」

 ――就任にあたってのキャッチフレーズ、キーワードとは。

 「変わらないんですけど、今は時間もまだないですし。まあキャッチフレーズとしては、そのままになるのか、これからまた自分でも考えて、どうしていくのか考えていきたいと思っています」

 ――目指すチーム像とは。

 「それは2軍でも言っていましたけど、ファンを喜ばせる、そういうチームを作りたい。それをするには、もちろん選手はいいプレーをして、フロント、コーチ、スタッフ、みんなが一丸となって達成できることだと思う。ファンを喜ばせるというものを、しっかり持ったチームにしていきたいと思います」

 ――そのために一番大切にしたいことは。

 「僕は前に向いたプレーが好きなので。ファンも消極的なプレーや引いたプレーというのは見たくないと思います。選手たちが前にドンドン攻めていって、うれしい時は思い切り喜んで、負けた時は思い切り悔しがって、そういう感情の出るようなことをグラウンド上でしっかり、当たり前のように体の中からあふれ出る。そういうものが伝えられれば、ファンにも分かってもらえると思うし、その中でやっぱり優勝ができれば、ファンはもっともっと喜んでくれる。そういう形で前を向いてドンドンやっていければと思います」

 ――野村、星野、岡田監督の下でプレー経験がある。理想の監督像とは。

 「いろんな監督にお世話になりましたし、今年は2軍でも自分の口で選手に伝えているんですけど、“あっ、この監督に教えてもらったことだな”とか“あの監督に指導してもらったことだな”というのが、僕の口から出ている。いろんな方から刺激を受けて、教えてもらって、勉強させてもらってきました。それをこれからも参考にさせてもらって行くと思います。まあでも僕には、僕にしかできないものもあると思うので。僕らしく、参考にさせていただきながら、僕らしい監督像を作り上げていければと思っています」

 ――故星野監督にはどう報告するのか。

 「生きておられれば、いろんな話、相談もできたと思いますが、もう僕も覚悟を決めましたので。監督には“覚悟を決めました。精いっぱい、やっていきます”という報告ができればと思います」

 ――現状のチームを分析して一番必要な部分とは。

 「数字的なことを言えば、もちろん、打つこと、得点を挙げることというのが、もちろんチームの課題にはなると思います。まあ、僕は闘争心というか、前に向かっていくというか、そういう気持ちの部分。それでチームというのは、すごく変わる可能性を持っていると思うので。それは今年の2軍で自分でも選手から逆に教えてもらったことでもありました。チーム全員でというか、前に向かってね。“失敗したらどうしよう”という気持ちよりも、“どうやったら打てるのか”“どうやったら抑えられるのか”という、“どうやったら”という思いで前に前に気持ちを持って行ってやることが、このチームには一番必要。そうやっていければ、躍動感とか、ファンにも何かが伝わるようなプレーにつながっていくと思う。そういう部分が僕は必要と思っています」

 ――楽しみな若手とは。

 「きれい事でも何でもなくて僕は全員だと思っています。2軍でも試合にも出られていませんけど、横田も含めて。横田自身も試合に出られなくても、ベンチでは一番声を出してやっている姿を見てきました。今年、2軍からはい上がっていった選手も数多く見ています。どの選手にも大きな可能性があると僕は信じています。僕らの指導力というのも、もちろんありますけど、誰かだけを挙げるということではなく、チーム全体で競争が激しくなるということが、本当にチームが強くなることだと思っているので、本当に全員にチャンスがありますし、なんとか全員を良くしたいというのが僕の思いです」

 ――補強は。

 「それは外国人も打てる選手が来てくれるに越したことはないですけど、まあでも、僕が思っているのは、今いる選手をどうするかが僕の大きな仕事の部分であると思うので。球団と補強面で相談もしていますし、進んでいるとも思いますけど、現状、何かここから大きな要望という感じではないです」

 ――ファンへ。

 「大変、急なことで、タイガースファンの方々にも、僕が監督になるところで戸惑いや不安もあると思います。でも僕が一番やりたいことは、タイガースファンを喜ばせることなので、そこに向かって、自分の全力を出してやっていくというのを、タイガースファンに誓って、楽しみにしてもらえるような球団、チームを作っていけるように、精いっぱい頑張ります」

 ――金本前監督が3年間で進めてきた若手育成。矢野監督はどう考えているか。

 「大きな課題であると思います。今年、2軍監督をやらせてもらってウエスタンリーグを一通り見させてもらいましたけど、ウチのチームには本当に楽しみな選手がたくさんいます。他の球団と比べても、負けていないというのは、僕も自信を持って言えます。その選手たちが力を付けていったら、どんなチームになるのかな、という楽しみも持てた年でした。金本監督から引き継ぐ形になりましたけど、育成というのはチームとして中心にある部分。それが一番、タイガースファンが喜んでくれる部分だと思っています。そこは大事に、自分の中の中心にも置いて、やっていきたいと思っています」

 【囲み取材】

 ――心境は。

 「実感というのはわいている。責任が重いだけに不安もあるけど、やるしかないというかね。やるぞという気持ちになった」

 ――監督と呼ばれることは。

 「ちょっと恥ずかしかったけど、2軍監督をやらせてもらったおかげでね。だんだん、違和感もなくなってきた状況やったらね」

 ――藤原次期オーナーとも対面した。

 「“フロントもサポートするから思い切ってやってもらったら、いいから”という話をしてもらった」

 ――星野さんへの思いとは。

 「(相談しても監督受諾を)やめろとは言わないでしょう。何か安心したいというか。こうやって言ってくれるんじゃないかな、というのはあるやん。そういう言葉を言ってくれる人だったから、それは寂しいしね。そういう想像はするよね」

 ――来年は矢野監督1年目か、金本監督4年目の位置づけか。

 「1年目やな。金本監督と一緒にやってきて野球観とか、やりたい事というのがズレているという感じは、監督とコーチとしてもしていなかった。ただ、俺だからできることもあるだろうしね。引き継ぐというのもまた違うし、全然違うというのも違うから。自分らしく、というのを大事にしたいね」

 ――矢野野球とは。

 「理想はやっぱり点を取りたい。それがファンは喜ぶのよ。甲子園で点を取ったときの、あの雰囲気って、守りのキャッチャーとしては良いんだけど。やっぱりファンはそれを求めていると思う」

 ――理想は03年型か05年型か。

 「それはやっぱり03年が理想だよね。みんながヒーローになって。逆転もあって、こいつら何するんだろうとか、どんな試合をするねんとか。やっぱり03年は多かったと思うし。その優勝を知っている人は、それを追い求めているファンの人もいるだろうし、俺も理想はね。理想は点を取って勝ちたいというのが一番いいと思う。でも、現状として自分のチームを分析したときに来年から、めちゃくちゃホームランを増えるかとか、得点力を上げていかないとアカンねんけど、上げられるかというのはこれからの課題。そこは理想と現実が違うことも受け止めてやっていきたい」

 ――近い将来の優勝を目指すのか。

 「もちろん、そんなのんきなことは思ってない。チームとして後退しているとは思っていない。チーム内の競争は激しくなっていると思う」

 ――ベテランも多いが。

 「チーム内のバランスは考えていかないととは思う。(福留)孝介だって年齢は上がっているけど、まだあのパフォーマンスを出せるというのはチームにとって大きいし、球児も今年また戻ったでしょう。能見は苦しかったけど、ファームでも一緒にやったし、でも中継ぎでああいうふうな形になったし。(糸井)嘉男だってケガがあったけど、ケガがあってもああいう数字を残せたしね。そういう部分ではチームの中での大きな戦力だしね。でも、そこに若手がチャレンジしていって、福留さん、僕どうですかというようなのは、チームとしては理想だよね」

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