違和感を覚えた試合直前の挨拶 これまでの松坂なら…

[ 2018年5月15日 10:40 ]

3回裏1死一、二塁、打者・岡本の時に右ふくらはぎの強い張りを訴え負傷降板した中日・松坂
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 13日の巨人―中日(東京ドーム)は中日・松坂の登板も重なって注目度は増した。結果は松坂が右ふくらはぎをつり、わずか41球で緊急降板。私も含めてファンには、拍子抜けとなったが、試合前に、少し違和感をおぼえる一幕があった。

 試合開始40分前くらいだろうか。三塁後方でダッシュを繰り返していた松坂のもとに、シートノックでグラウンドにいた巨人の岡本が挨拶に出向いた。2、3の言葉を交わしたろうか。これから対決目前という相手に対し、近づいていける岡本の度胸もある意味、すごいと感じたが、松坂も、これまでなら視線すら合わせなかったろうと思う。いくら、16年12月にプエルトリコのウインターリーグに参加し「カロリナ」というチームで松坂と岡本がチームメートだったとしても、だ。

 松坂は西武でのプロ1年目、99年5月16日に当時オリックスのイチローとの初対決で、3打席連続三振を奪った。逆にイチローは7月の対戦で松坂から100号本塁打。なれ合いではない真のライバル関係をその後、構築した。そんな松坂とイチローには、一定の距離感があった。

 例えば、レッドソックスとマリナーズの直接対決がある3連戦。松坂はイチローと登板前は絶対に食事には出掛けない。それどころか、登板日に早出でキャッチボールをしていた際、数メートル横をランニングしていたイチローと言葉を交わすどころか、目も合わせなかった。イチローも対決前に松坂について語ることはなかった。松坂はイチロー以外の他球団の野手との交流に対しても「どんな隙も見せたくない」とかつて話していた。

 今や、侍ジャパンが常設化され、選手間との交流も活発だ。そんな時代に他球団の選手と話をするな、ということの方が不自然でもある。ただ、投手と野手が真剣勝負をする上で、一定の距離はあってほしいと思う。いくら2人のキャリアに大きな差があったとしても、挨拶の必要性に迫られていたとしても、まだライバル関係ではないにしても、試合直前の光景として「微笑ましい」とは思えなかった。松坂にも、応じてほしくはなかった。

 次回は交流戦明けの6月29日から中日―巨人戦(ナゴヤドーム)が組まれる。今度は松坂VS岡本、そして巨人打線の言い訳や妥協のないガチンコ勝負を見たい。(記者コラム・倉橋 憲史)

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