悪天候で観客激減の大リーグ 原因は異常気象? 地球は大丈夫なのか…

[ 2018年4月18日 09:00 ]

雪で中止となった9日のカブス対パイレーツ戦(AP)
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 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】974人。なんの数字だかおわかりだろうか?実はこれ、4月9日にシカゴで行われた大リーグのホワイトソックス対レイズ戦の本当の観客動員数だった。公式記録ではホワイトソックスの本拠地「ギャランティード・レート・フィールド」での観客は1万377人だが、レイズの番記者がツイートで実際に球場に来た人数をツイート。それが974人だった。

 人気がないのではない。大リーグは二刀流のルーキー、エンゼルスの大谷翔平(23)の存在などもあって話題は豊富だ。ただ“空”が味方してくれない。米国全体を襲っている異常気象の影響で、中西部は寒波と大雪に見舞われ、15日には9年7カ月ぶりに6試合が順延。とくに寒さの影響が大きく、多くのファンが球場から遠ざかる結果となっている。

 4月11〜18日の1週間、全試合の平均観客動員は2万8566人で前年同期比で約1万1000人のダウン。順延された試合はどこかに組み込まなくてはいけないから、どのチームも今後はいびつな日程に悩まされることになりそうだ。

 AP通信からはこの1週間、雪景色となったミネソタ、サウスダコタ、ネブラスカ各州の写真が配信されてきた。最低気温は氷点下で、体感温度になると氷点下2ケタ。これでは屋外でのスポーツ観戦など論外かもしれない。

 ミネソタ州のミネアポリスを本拠にしている大リーグのチームはツインズ。ツインズの本拠地はかつてはドーム球場(メトロドーム)だったが、現在は天然芝の「ターゲット・フィールド」となった。しかし屋外スタジアムゆえに寒波と悪天候の影響をもろにうけ、今季は4月15日の段階ですでにホームでの10試合中、4試合が順延となっている。

 3月には男女の大学バスケットボールがクライマックスを迎えていたが、東部、中西部での試合が組み込まれたチームは、飛行機のキャンセルなどが相次いだために移動にはかなりの苦労を強いられた。マサチューセッツ州ボストンにキャンパスがあるノースイースタン大学の女子チームはペンシルベニア州フィラデルフィアで試合を行ったが、前日練習の際には乗車したバスが積雪で動けなくなり、選手全員でそのバスを押して窮地を脱するというハプニングと直面した。

 4月17日。私の手元には竜巻に近い突風で家屋が各所で倒壊したバージニア州の写真、さらに24時間で700ミリを超す豪雨に見舞われて洪水となったハワイ州カウアイ島の写真などが届いた。カリフォルニア州レイクタホ近郊の山岳部は20センチ以上の積雪。異常気象は米国に限ったことではないだろうが、写真が連日配信されてくるだけにことのほか目立っている。

 「温暖化などない」と言い切った人物が大統領になったとたんのしっぺ返し?まあ、そんなこともないのだろうが、とにかく各地でスポーツ界は悲鳴をあげている。

 果たしてこのような天気が続く中で大リーグの各球団はレギュラーシーズン全162試合を消化できるのか?プレーオフに突入しているNBAでもミネアポリスを本拠にしているティンバーウルブスが14シーズンぶりにポストシーズンに駒を進めているだけに、これ以上の混乱は避けたいところ。北極の海氷面積が少なくなっている昨今、「地球を元に戻さないとスポーツも危ない」と感じているのはたぶん私1人だけではないと思う。(専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に7年連続で出場。

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