長嶋さん 妻亡くし、体調すぐれぬノムさんを「激励に行きました」

[ 2018年2月11日 05:30 ]

ジャイアンツ―ホークスOB戦   ジャイアンツ11―3ホークス ( 2018年2月10日    サンマリン宮崎 )

<ジャイアンツVSホークスOB戦>試合前の記念撮影時に談笑する長嶋総監督(右)と野村総監督
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 巨人の宮崎キャンプ60年とソフトバンクの球団創設80周年を記念した「ジャイアンツ―ホークスOB戦」が10日、サンマリンスタジアム宮崎で行われた。ジャイアンツOBの総監督を務めた長嶋茂雄終身名誉監督(81)は、15年ぶりに指揮官としてベンチ入り。降水確率80%の空模様も一転、ミスターの笑顔が打線爆発&勝利を呼び込んだ。

 打って笑い、抑えて喜んだ。一塁側ベンチ、400勝左腕・金田の隣に座った長嶋総監督は「ナイスバッティング!」「ナイスピッチ!」と何度も大声を出した。心地よい球音と、グラウンドの匂い。野球が楽しくて仕方がない、子供のような笑顔だった。

 「しばらくぶりにベンチに入ってね。試合を見ながら選手の元気な姿を見ていると、やっぱり野球というのは非常にいい感じで。気持ち良かったです」

 ベンチで指揮を執るのは、日本代表を率いた03年アテネ五輪の予選以来。翌04年本戦は脳梗塞で倒れ、ベンチ入りはかなわなかった。15年ぶりの晴れ姿。OB戦とあって采配にはこだわらず、宮崎キャンプ1年目の59年シーズンを再現したクリーム色のユニホームは着ずにジャンパー姿だった。それでもミスターがベンチにいる。それだけで違う。王も「今のOBの中では一番、(選手が)その気になりやすい」という存在が「長嶋監督」だ。

 試合前には王、張本とともに、三塁側ベンチ裏の監督室に足を運んだ。ホークスOBの野村克也総監督の元へ。「奥さん(昨年12月に亡くなった沙知代夫人)の話とか、本人も体調が悪いと聞いた。激励に行きました」。ひまわりと月見草と称され、現役から監督時代もライバル関係が続いた。そんな過去の因縁にも、同学年の2人は「ノムさん」「ミスター」と呼び合う。この日も10分近く話し込み、お互いに「元気か?」「大丈夫だ」と言葉を交わした。記念撮影では中央に2人並んで写真に納まった。

 「いい野球ができました」。強い雨で試合開始が1時間12分も遅れたが、初回にはうそのようにやんだ。前売り券は完売。スタンドは1万7642人のファンで埋まり、終了後には晴れ間とともに夕焼け空も顔を出した。ミスターの神通力。ひまわりの笑顔が咲けば、どんな奇跡でも起きる。 (鈴木 勝巳)

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