阪神・藤浪 160キロもまた広島戦勝てず「球速より球質なんで」

[ 2016年9月15日 05:30 ]

<神・広>初回、鈴木の時に160キロを計測した藤浪

セ・リーグ 阪神4―6広島

(9月14日 甲子園)
 阪神・藤浪晋太郎投手(22)が14日の広島戦(甲子園)で日本球界6人目となる160キロの大台を計測した。初回1死満塁から鈴木の3球目にマーク。自らが持つ球団最速を一気に2キロ更新したが、初回に2失点するなど6回2/33失点で降板。セ・リーグ覇者に対し今季6試合登板も4敗でいまだ未勝利。悩める1年を象徴する結果となっているだけに、160キロを今後の進化のきっかけにしてほしい。

 苦境に立たされた中で叩き出した「大台」だった。初回1死満塁で迎えた鈴木への3球目-。外角低めへ外れたボールは、日本球界では大谷(日本ハム)以来、6人目となる160キロを計測した。

 「まあ、ひっかけたボールなので。(スピード)ガンが出たから、抑えられるわけでもない。球速より球質なんで」

 鈴木への初球にも、今季マークしたこれまでの最速158キロを更新する159キロを投げるなど、ボールの走りは申し分なかった。だからこそ、結果に結びつかないことが悩ましい…。何度も見て来たこの光景。課題の立ち上がりを、この夜も克服できなかった。

 鈴木の三ゴロの間に先制点を献上すると、続く野間には156キロを左前に運ばれて瞬く間に2失点。初回だけで3四球と制球の乱れで作られた得点機を着実にものにされ、出ばなをくじかれた。追加点を与えず、何とか粘ってきた6回も先頭の丸に与えた四球から1死三塁とされ鈴木に直球を右前に弾き返され3点目を許した。7回2死二塁で丸を迎えたところで無念の降板。打線が一時、逆転に成功し、両リーグワーストタイの12敗目こそ免れたが、鯉に倍返しの快投とはいかなかった。

 広島戦は今季6試合に先発して未勝利(4敗)と、リーグ優勝チームに一方的にやられた形。意地と執念を白球に込めて腕を振ったが、返り討ちにされた。

 ただ、肩を落としただけではない。リリースポイントを前にした投球フォームを試し、2回からの4イニングは無安打に封じて、求める「球質」を体現できた部分もあった。チームの敗戦に責任を感じる一方で、今後のきっかけとなる収穫を手にしたことも確かだ。

 「リリースを前にして、バッターとの距離を詰めることを意識した。160キロは別にして、ストレートは(打者を)押し込める感覚はあった。そのあたりが途中、しっかりできたと思う」

 日本人では3人しかマークしていない160キロに達成感はなくても、球速の壁を打ち破り、藤浪晋太郎の「伸びしろ」は示した。悔しさしか味わっていない笑顔なき4年目。屈辱を力にできる強さを22歳は備えているはずだ。 (遠藤 礼)

 ▼広島・鈴木(藤浪の160キロについて)表示は見えた。でも、ストライクゾーンに来ていないので何とも言えない。

 ▼阪神・香田投手コーチ(7回途中3失点で降板した藤浪に)4安打3失点ということは安打1本で点を取られていることになるからね。(160キロについて)そういうことよりも、まずはしっかりカウントを作って、打者を追い込んでいくことの方が大事。

 ≪プロ野球6人目≫藤浪(神)が広島戦の初回、鈴木への3球目に自己最速を2キロ更新する160キロをマーク。球速160キロ以上を計測した投手はプロ野球6人目で、日本人では由規(ヤ)、大谷(日)に次いで3人目。

 ≪甲子園で8戦勝利なし≫甲子園では今季初戦の4月12日DeNA戦に勝って以降、8試合で勝利がない。昨季まで通算36試合で19勝4敗、防御率2.37という圧倒的な成績を残したが、今季は防御率4.42と苦戦している。

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