黒田 13日ぶり復帰で粘投!右スネ打球直撃も「チームの勝利が一番」

[ 2016年5月21日 05:30 ]

<神・広>6回7安打1失点の黒田

セ・リーグ 広島4―1阪神

(5月20日 甲子園)
 広島・黒田博樹投手(41)が20日の阪神戦(甲子園)で6回を7安打1失点に抑える粘投を見せた。頸部(けいぶ)神経根症と右肩痛による一時離脱から13日ぶりの復帰登板で勝ち負けはつかず日米通算198勝目はならなかったものの、確かな復調を印象づけた。力投に応えた打線は土壇場9回に追いつき、迎えた延長12回に途中出場の伏兵・磯村嘉孝捕手(23)が決勝の左前打。劇的な逆転勝利を飾った。

 土壇場の9回に攻撃陣が同点に追いつくと、ベンチで戦況を見守っていた黒田は満面に笑みを浮かべた。敗戦投手を免れた喜びではなく、純粋にチームの勝利を希求した姿だった。最終的に5時間超の延長戦を逆転で制し、ベテランは柔和に自身の投球を振り返った。

 「今日の調子の中で何とか試合をつくれた。それが勝ちにつながったと思います。チームの勝利が一番。こういう展開で勝てたのは大きい」

 前回7日のDeNA戦(マツダ)以来、中12日の復帰登板。初回から毎回走者を背負う苦心の投球だった。2回には2死から高山の打球がワンバウンドで右スネを直撃。「あれぐらいはしょっちゅうなので」。痛みを我慢し、バックの好守もあって要所で粘った。

 「安打はたくさん打たれたけど、状態は悪くなかった」と自己分析した119球。悔やまれるのは4回か。先頭・福留に左翼線二塁打を許し、2死三塁のピンチ。高山の一、二塁間への強烈なゴロを新井が逆シングルで好捕したが、黒田のベースカバーがわずかに遅れた。唯一の失点だった。

 DeNA戦から1夜明けの翌8日、首のしびれや右肩痛が投球に「支障を来している」としてトレーナーが止め、出場選手登録を抹消された。ドジャース時代の09年8月15日、ダイヤモンドバックス戦で右側頭部に打球を受けて以来、首には慢性的な痛みを抱える。

 昨夏の球宴前には「野球だけじゃなく、私生活でも支障がある」と打ち明けたことも。だが、どんな状況でも黒田は常に自身の体調と真摯(しんし)に向き合ってきた。

 「年齢を重ねるごとに自分の頭と体の溝が深くなる。頭で考え、体で表現できていたことが出来ずらくなる。でも、だから結果が出ない…というのは許されないので」

 患部はまだ万全ではない。それでも決して弱音を吐かず、現状の体調と仕上がりの中でチームの勝利のために最善を尽くす。それが投手陣の大黒柱としての覚悟だ。「また次に向けてしっかり準備したい」。復調した41歳がまた、偉業へ一歩一歩前進する。 (江尾 卓也) 

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2016年5月21日のニュース