海星 春1勝 61年初出場から5度目挑戦でついに

[ 2016年3月25日 05:30 ]

<海星・長田>初戦を突破し、アルプススタンドに向けてダッシュする海星ナイン

第88回選抜高校野球大会1回戦 海星3―2長田

(3月24日 甲子園)
 スーパーキャッチで春1勝だ。1回戦3試合が行われ、センバツ出場5度目の海星(長崎)は春田、土谷の“勝利の方程式”が決まり、21世紀枠で出場した長田(兵庫)に3―2で競り勝った。海星は春初勝利。九州・山口勢は5校中4校が初戦を突破した。

 海星に、冷や汗混じりで待望の春が来た。1点リードで迎えた9回2死一、三塁。一打出れば逆転される場面でベンチは伝令を出した。

 「後ろを越える打球はこない。外野は前に寄れ!」。前進守備を敷くと、あろうことか8番・富田の打球は右翼・坂田の後方を襲う大飛球。地鳴りのような長田アルプスの大声援が一瞬にして静まり返る中、坂田は下がり、振り向きながらスーパーキャッチ。5度目の挑戦で春初勝利が決まった瞬間、悲鳴と歓声が祝福してくれた。

 試合後、加藤慶二監督は苦笑いを浮かべ「私の采配ミスです。場内の雰囲気に舞い上がってしまった。1勝がプレッシャーとなる中、選手はよくやってくれました。歴史のある、いい学校に勝ったというのはうれしい」と汗を何度もぬぐった。

 これで61年の春初出場から45年、歴史は塗り変わった。甲子園では02年夏の初戦、日本文理戦以来の白星。「頭(脳)の勝負ならやばいが春夏連続出場と春1勝を達成しよう。新しい歴史をつくろう」とナインを送り出した加藤監督としても春の初陣で初勝利となった。

 ただ、宿舎に「勉強部屋」を設けて野球と並行して宿題を続けてきた兵庫を代表する21世紀枠の県立進学校に辛勝は課題が残る。相手エースの園田は自責点0。3安打に抑え込まれ、6三振を喫した。メンバーで唯一、1年時の14年夏で主力だった服部は3打数無安打。「的を絞れずに力んでしまった」と首をかしげた。強豪ひしめくブロック。「これで、まずは勢いに乗りたい」と加藤監督は切り替える。プロ野球の開幕前日、長崎に、まずは球春到来。2月に市内でのランタンフェスタは終わったが、海星の春はこれからが本番だ。 (井上 満夫)

 ▼海星・坂田航(9回2死一、三塁で右翼後方への大飛球を好捕)海星アルプスから「取れるぞ」との声が聞こえたし、守備には自信がありました。きょうの守備はヒット10本分の価値がありますかね。初勝利は先輩たちがいたからこそ。感謝したいです。

 ≪これまでの春≫

 ☆61年1回戦・平安(京都) 初回に3点を先制され、0―4の3安打零敗。先発は池辺巌(元阪神、近鉄外野手)。西田辰夫監督。

 ☆77年2回戦・中村(高知) 5点先制されての6、8回に1点を返したが2―6で大敗。平田勝男(元阪神内野手)が選手宣誓。先発は山口靖浩。井口一彦監督。

 ☆87年1回戦・京都西 2回に2点先取。11安打を放ったが2度のリードを守れずに3―5の逆転負け。先発は安永潤。的野和男監督。

 ☆01年2回戦・仙台育英(宮城) 2度のリードを守れず3―4で10回サヨナラ負け。先発は松永浩典(元西武投手)。井口一彦監督。

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