【甲子園百景・春】交換日記が導いた東海大甲府・菊地“エース復帰への道”

[ 2016年3月25日 09:21 ]

<東海大甲府・創志学園>2番手で登板した東海大甲府・菊地

第88回選抜高校野球大会1回戦 東海大甲府1―5創志学園

(3月24日 甲子園)
 昨年夏の面影を残しつつ、背番号は「1」から「10」となった。東海大甲府の菊地大輝(ひろき)は2番手として4イニングを1点に抑え、味方の反撃を待ったがかなわなかった。

 2年生エースだった昨夏。体重は90キロを超えていた。3回戦で清宮(早実)に甲子園初アーチを浴び、姿を消した。そこから故障や同僚松葉の成長もあって背番号1はライバルに譲った。「松葉くらい努力すれば凄い選手になるんだが」と言う村中監督の叱咤(しった)も背番号に表れる。

 そんな状況に動いたのが和泉(わいずみ)淳一部長(42)。「継続力がないから、コツコツやる大切さも含めて」(同部長)と、12月から2人だけの“交換日記”がスタートした。一日の出来事をノートに書いて和泉部長に渡し、その感想を菊地に返す。毎日のやりとりで意識が変わる。大好きなジュース、菓子類を我慢。食事ではトンカツの衣を外して食べた。大嫌いなランニングも1日7~8キロ。10キロの減量に成功、ベルトの穴は3つ詰まった。

 「先生から“後輩から尊敬される選手になろう”と書かれていた。それまで自分のことで精いっぱいだったのが、変わったと思う。きょうの日記は“悔しい”の言葉が多く出てきます」

 このまま10番に甘んじているつもりはない。「もちろん夏は1番を目指しますよ」。継続は力なり。ぽっちゃり感は残しつつ、ハートはぐっとたくましくなった。
(落合紳哉・特別編集委員)

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2016年3月25日のニュース