由伸監督「使いたくなる」ドラ2重信“稲妻走”外野手争い参戦

[ 2016年2月13日 06:08 ]

紅白戦の7回無死一塁、亀井の右中間二塁打で一気に生還する重信

巨人紅白戦 白組4―1紅組

(2月12日 サンマリン宮崎)
 由伸政権初得点、初猛打賞の鮮烈デビューだ。巨人のドラフト2位・重信慎之介外野手(22=早大)が12日、宮崎キャンプの紅白戦に白組の「2番・左翼」で出場。広角に3安打を放てば、0―0の7回には一塁から俊足を駆って次打者の右中間二塁打で生還した。高橋由伸監督(40)の就任後、チーム初の実戦。猛アピールで、し烈な外野手争いに電撃参戦した。

 風を切る、とはこのことだ。7回、中前打で出塁した重信が、亀井の右中間二塁打で一塁からスタートを切った。さながらスプリンター。速さに球場がどよめく。三塁を回ると最後はゆうゆう生還。新人が新チーム初得点をかっさらった。

 「自分の持ち味を出せてホッとしている。塁に出るだけでバッテリーに嫌がられるのが持ち味。スピードを意識していきたい」。まさに稲妻――。俊足は初回から際立った。第1打席、無死二塁から一塁への強襲打を放った。打席から一塁までの到達タイムは3秒7で、大リーグでもトップクラスと評される。ギャレットがボールをはじく間に、「プロ初打席」で内野安打をもぎとった。

 50メートルを5秒7で駆ける足は早大時代に磨きをかけた。3年時の夏、大学競走部の門を叩いた。それまでは五輪や世界陸上をテレビ観戦し、人類史上最速の男ウサイン・ボルトらの短距離走を独学で研究。「走り方の理論を学びたい」とトラックでの指導を求めた。教わったのは、12年ロンドン五輪の400メートルリレーに補欠選出された九鬼巧。手の振りや足の上げ方、一つ一つに目からうろこが落ちた。中学時代に国道を走る路線バスと競走して勝ったという韋駄天(いだてん)だが、「走塁技術が確実に上がったと思う」と振り返る。

 8回には三塁手の頭を越す一打。3安打を右、中、左へ打ち分けた。「崩されても球を拾うのがうまい。青木にそっくりですね」と中日・加藤光教スコアラー。最高の褒め言葉だ。マリナーズ・青木は早大の先輩で、憧れの存在。同じように重心を低く構え、バットを指2本分短く持つ。打席に入る前にはバットを両手で持ち、ヌンチャクのように「無限大」の記号を描く。「手首を柔らかく使うためにやっている」。手首をクルクルと回して打席に立つ青木と狙いが共通するルーティンが、広角打法の秘けつだ。

 打って走って、パフォーマンス全開で外野の定位置争いに名乗り。高橋監督からは「速かったね、打撃も良かった。使いたくなるような感じがありましたね」と評された。重信は言った。「開幕スタメンは頭にあるけど、まずはケガをしないことを第一にやりたい」。元気なら結果はついてくると、自分を強く信じている。(神田 佑)

 ▼巨人・榑松伸介GM補佐・監督担当(当時の担当スカウト)持ち味を存分に発揮してくれた。足については特A評価だった。ハートもいい。なんとかチームの戦力になってほしいね。

 ▼ヤクルト・片岡大蔵スコアラー あの足は脅威。鈴木や立岡と遜色ない。安打はさすがというところが見えた。なかなか新人で最初の実戦で変化球を打てない。

 ▼阪神・太田貴スコアラー 打撃はコンパクトでその中で引っ張ったりおっつけたり広角に打てる打者。要注意です。

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