マエケン不変の向上心「どの世界でもアスリートなら1番目指す」

[ 2015年11月26日 08:06 ]

最多勝利投手賞のインタビューで去就について聞かれ口をへの字に曲げる前田健

NPBアワーズ

 プロ野球の年間表彰選手が集う「NPB AWARDS 2015 supported by リポビタンD」が25日、東京都内のホテルで開かれ、広島・前田健太投手(27)が自身2度目の沢村賞と最多勝、3度目のベストナインをそれぞれ表彰された。ポスティングシステムによる今オフのメジャー挑戦を球団に申し入れた翌日。注目を集める来季に向け「どの世界でも一番を目指す」と決意を語った。

 濃紺のスーツにブルーのネクタイ姿。会場に現れた前田健は開口一番、「去年は寂しい思いをした。この場所にまた、戻ってこられてうれしい」と語った。昨季は不本意にも5年ぶりの無冠。プロ野球の年間表彰式では“顔”の自負があっただけに、正直な胸のうちだった。

 前日24日は球団事務所で鈴木球団本部長と面談し、今オフのメジャー挑戦希望をあらためて申し入れた。13年オフに表明した意思だけに「反響は特になかった」と淡々。「待つしかないと言うよりも、あとはボクが話したことが進んでいくと思う」と冷静に語った。

 希望は伝えたので、あとは球団の判断を待つだけ―。心境はまさに明鏡止水。ただ、立場を踏まえて慎重に答えた来季への言葉が、前田健太の姿勢を言い表していた。

 「どの世界であってもアスリートなら一番を目指す。どれか一つでもいいから(タイトルを)獲りたい。その気持ちは変わらないと思います」

 不変の向上心。個人よりもチームの勝利を優先する中で、唯一「特別な賞。狙って獲りたい」と公言し、5年ぶり2度目の受賞となった沢村賞はまさにその勲章だ。日本ハム・大谷を抑えてのものだけに価値がある。表彰式の壇上。スポットライトを浴びた右腕は、背筋を伸ばして言った。

 「ここ数年、この(沢村)賞をもう一度獲りたいと思い、日々(の練習に)励んだ。獲れたことを光栄に思います」

 同時に、2年ぶり3度目のベストナイン、5年ぶり2度目の最多勝も表彰された。後者では司会者にマイクを向けられ、「久しぶりに獲れてよかった。去年は後半戦勝てなかったけど、今年は勝てた。納得はしていないけど…」と答えた右腕。再表明した米球界挑戦を振られると「現状で話せること? ないです。テレビが多いので止めておきます」と笑わせた。

 3年越しの申し入れを受け、球団は来週末をメドに方向性を出す方針。来季プレーする場所が日米どこであれ、その舞台には常に一番を目指す前田健太がいる。(江尾 卓也)

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2015年11月26日のニュース