マエケン 打って走って…奇跡CSへリーグトップ14勝

[ 2015年9月27日 05:30 ]

<広・神>5回裏1死、左中間二塁打を放ち、ベースに滑り込む前田健

セ・リーグ 広島2―1阪神

(9月26日 マツダ)
 広島は26日の阪神戦(マツダ)に2―1で逆転勝ちし連敗を4で止めた。中6日で先発した前田健太投手(27)が8回を4安打1失点の力投。リーグ単独トップの14勝目を飾れば、自身の左中間二塁打で築いた5回の好機に新井、エルドレッドが連続適時打で応え、チーム32イニングぶりの得点を挙げた。負ければ自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出が消える土俵際。エースが奇跡への扉を開いた。

 決勝打のエルドレッドと並んだお立ち台。エースのトークが振るっていた。「皆さん、お忘れかもしれませんが、PL学園では4番でした」。母校での実績を誇示して大観衆の笑いを誘うと、自慢のバットで突破口を開いたシーンに言及し、言葉に力を込めた。

 「足は速くないけど、何とかチャンスをつくりたい…と。打席でも勝つチャンスをつくりたいと思っていました」

 0―1の5回1死。2ストライク後の4球目、外角低めのツーシームを左中間に運ぶと、一気に二塁を陥れた。「打球の飛んだ位置と(左翼・マートンの)捕り方を見ていけると思った」。好判断、好走塁。31イニング無得点を続けた攻撃陣を刺激するには十分だった。

 本業でも魅せた。初回2死二塁からゴメスに先制打を許したが、2回以降は完全に立ち直る。圧巻守備は5回だ。1死一塁で、岩田の投前バントを素早く処理し、一走・梅野を二塁封殺、鮮やかに併殺を完成させて逆転へのリズムをつくると、以降は8回まで打者3人ずつで斬ってみせた。

 「逆転してもらった後は、1点を守ろうという気持ち。自分の勝ちがチームにつながる。1つでも多く勝ちたいと思っていたのでよかったです」

 当初は中4日で24日の巨人戦に向かう予定だったが、疲労面などを考慮されて中6日での先発。前回19日の中日戦では4回途中7失点KOと乱れただけに、同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。負ければ今季の勝ち越しが無くなり、自力CSの可能性も消える一戦。土俵際で14勝目を挙げたエースを緒方監督も「相手をねじ伏せたし、突破口も開いてくれた。投打にマエケンだね」と絶賛した。

 本拠地にはこの日も3万1千人超のファンが詰めかけ、主催試合の総入場者数は198万人を超えた。3位・阪神と2・5差に戻し、27日の第3ラウンド、球団史上初の200万人超えは確実だ。連日、大声援を送ってくれる赤ヘル党に前田健は宣言した。

 「あきらめるのは、プロとして一番格好悪いこと。最後まで全力で1戦1戦頑張ります!」

 エースの最終登板は10・2中日戦(マツダ)。逆転CSの可能性を信じて気力を振り絞る。(江尾 卓也)

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