敦賀気比　背番17が史上初２打席連続満塁弾！松井＆桑田超え８打点

＜敦賀気比・大阪桐蔭＞史上初となる２打席連続本塁打を放った敦賀気比・松本の背番号は１７

第８７回センバツ高校野球第１０日・準決勝 敦賀気比１１―０大阪桐蔭

（3月31日 甲子園）
　準決勝が行われ、敦賀気比（福井）と東海大四（北海道）が、ともに初優勝に王手をかけた。敦賀気比は松本哲幣外野手（３年）が、いずれも史上初となる２打席連続満塁本塁打、大会新記録の１試合８打点を記録。昨夏の甲子園準決勝で敗れた大阪桐蔭を１１―０で下して雪辱し、春夏通じて初の決勝に駒を進めた。東海大四は浦和学院に３―１で競り勝ち、北海道勢としては５２年ぶりの決勝進出。１日の決勝は午後０時３０分プレーボールの予定。

　甲子園４万４０００観衆が教えてくれた。初回２死満塁。松本はフォークを強振した。左中間へ飛んだ打球を見失い大歓声でスタンドに届いたことに気付いた。６番打者はガッツポーズだ。

　「観客席が盛り上がったので確信しました」

　ただ不安になった。昨夏の大阪桐蔭との準決勝。自身と同じ６番打者だった先輩の御簗（おやな）が初回に満塁弾を放つも敗れた。「４点だけでは怖かった」。２回にも満塁機で打席に立つと左翼席に運んだ。春夏通じて史上初の２打席連続の満塁本塁打。さらに８打点は、ＰＬ学園・桑田、星稜・松井と甲子園のスターがつくった個人１試合７打点の大会記録を一気に抜き去った。公式戦の本塁打はなかった。今春の練習試合で３本打っただけの背番号１７が、高校野球１００年の節目を飾る快挙を成し遂げた。

　「記録と聞いてビックリしています。今までにない経験。最高の気持ちです」。昨夏の甲子園はベンチ入りできず、スタンドで応援した。秋は県大会前に右肩周辺の肉離れでベンチ入りメンバーから外れた。寮でふとんをかぶって、号泣した。北信越大会ではメンバー入りしたものの立場は控え。冬場に１日８００スイングのティー打撃を続けた。

　今大会で先発の座をつかみ１回戦では３安打した。だが２回戦で無安打。準々決勝で控えに回ったが、東哲平監督は左腕に強い理由で松本を再び先発起用した。「悔しさを思い切りぶつける」。指揮官から「低めのボール球を見極めろ」の指示を受け、１発目は左腕・田中が投じた甘く入ったフォークを逃さなかった。２発目は打席でベースからやや離れて立ち田中が得意にする内角直球を狙い打ちした。大阪桐蔭の夏春連覇を阻むラッキーボーイとなった。

　先発メンバーには京都のボーイズリーグ時代の仲間が３人。特に仲がいい木下は「雨が降っても場所を探して、毎晩素振りをしている」と親友の努力を明かす。松本も「昨晩の素振りが結果につながった」と言葉に実感を込めた。決してプロ注目の選手ではない。ただ野球が好きで、打つことが好きで、ひたすらバットを振ってきた。そんな情熱が奇跡を起こした。

　昨夏の雪辱を果たし、北陸勢初の甲子園制覇まであと１勝に迫った。

　「いつも通りに自分たちの野球をやりたい」

　高校野球の歴史に名を刻んだ１７歳は胸を張った。

　≪日米の２打席連続満塁本塁打≫

　▼プロ野球　０６年の巨人・二岡智宏だけ。４月３０日の中日戦（東京ドーム）で４、５回にマーク。二岡は初回に２ランも放ち、３本塁打１０打点。１試合満塁弾２本は、二岡と５１年大映・飯島滋弥の２人。

　▼大リーグ　０９年・ナショナルズのウィリンハムまで７人。９９年・カージナルスのタティスは同一イニングに達成。１試合満塁弾２本は１３人。

　≪敦賀気比・松本および敦賀気比が達成した記録≫

　◆個人２打席連続満塁本塁打　大会史上初。春夏通じ１試合、１大会、通算２本は史上初。

　◆個人最多　打点８　０６年にＰＬ学園・戸沢（対真岡工）ら５人が記録した７を更新。

　◆満塁本塁打　１５年に常総学院・荒原が記録して以来、２２、２３本目。

　◆個人２打席連続本塁打　０７年に大阪桐蔭・中田が佐野日大戦で記録して以来、１１人目。

　◆個人１試合最多本塁打２　１４年に智弁学園・岡本が三重戦で記録して以来、２０人目。

　◆チーム１試合最多満塁本塁打２　１１年に東海大相模が履正社戦で記録して以来、２度目。