キヨシ監督困惑「彼は球団の顔」金城巡りフロントと温度差

[ 2014年11月3日 05:30 ]

金城を来季も戦力と考えていた中畑監督だが…

 DeNAの中畑清監督(60)は2日、金城龍彦外野手(38)が球団から引退勧告を受けていたことを明らかにした。指揮官は来季の現役続行を求めて慰留に努めたが、フロントの方針は変わらず、意思疎通の欠如を露呈する形になった。国内フリーエージェント(FA)権を取得している金城は近日中に球団と最終会談した上で、行使を表明する。調査を進めている巨人へのFA移籍が決定的な状況だ。

 横須賀市内のベイスターズ球場。中畑監督の表情に苦悩の色がにじみ出ていた。FA権を行使して退団が決定的となった金城が球団から引退勧告を受けたことに質問が及ぶと、「(球団は)ぼちぼち(引退して)どうだ?という話をしてコーチになる選択も与えたが、金城の頭の中に引退の“い”の字もなかったみたい」と明かした。その上で、「彼は球団の顔。努力できるし、野球人として個人的に尊敬している。功労者だから」と苦しい胸の内を吐露した。

 詳細には言及しなかったが、球団関係者によると、シーズン終盤の9月上旬に球団フロントが中畑監督に事前の相談もなく、金城に引退勧告した。指揮官は事後連絡で知ったそうで「事前に相談もないのはおかしい」と周囲に漏らしていた。金城は引退勧告を受けた後、中畑監督に相談。この日、指揮官は「(金城に来年も)一緒に頑張ろうという話はした」と明かし、現役続行を望んだ。

 金城はプロ入りした99年から横浜(現DeNA)一筋16年。通算1627安打のスイッチヒッターは今季、90試合の出場にとどまり、打率・200、0本塁打に終わった。それでも中畑監督は「代打で勝負強いし、外野の守備固めもできる。こんなに心強い選手はいない」と厚い信頼を寄せ、38歳のベテランも「生涯横浜」を誓っていた。

 しかし、来季の現役続行を求める中畑監督の訴えはフロントには響かなかった。その後、金城は球団との再度の話し合いで「戦力として必要」という言葉はもらえなかった。問題なのは中畑監督とフロント側の「温度差」。現場の意向も聞かずに、生え抜きの功労者の進退を決めるやり方だ。しかも、中畑監督は来季も戦力として必要だったわけで、金城からすれば納得がいくはずもない。

 熟考の末、他球団移籍を前提にFA権を行使して、DeNAを去る決断を下した。近日中に球団と最終会談して行使する意向を伝え、調査を行っている巨人への移籍が決定的だ。中畑監督は「野球人として大きな決断だと思う」と金城の行く末を見守っている。チームの精神的支柱を失う代償はあまりにも大きい。

続きを表示

この記事のフォト

2014年11月3日のニュース