木田が球界にもたらしたいつでもセットポジション、スパッツ着用…

[ 2014年9月11日 05:30 ]

今季限りで現役を引退する木田優夫

 山本昌(中日)、三浦大輔(DeNA)など40代投手の活躍が目立つ中、ある40代投手がユニフォームに別れを告げる。9月12日に46歳になる、BCリーグ・石川ミリオンスターズ所属の“GM兼投手”木田優夫が、14日のホーム最終戦で引退セレモニーを行う予定だ。その前日、13日には、お笑い界の大スター・明石家さんまが石川の「1日コーチ」を務め、引退に華を添えることも決まっている。

 1986年のドラフトで巨人に1位指名されたあと、日米7球団(現在所属する石川も入れれば8球団)に所属した異色の野球人・木田優夫は、28年にも及ぶ長いプロ野球人生を送った。しかし、いくつかの革命的な事象も生み出してきたことはあまり知られていない。自著『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)の内容を元に、木田が球界にもたらしたものを振り返ってみよう。

◎いつでもセットポジション投法

 ランナーの有無にかかわらず常にセットポジションから投げる投手……は今ではおなじみの光景だ。だが、かつてはランナーがいない場合、投手は“振りかぶって投げる”のが当たり前だった。この慣例を破り、いつでもセットポジションから投げるようになったのは木田優夫が最初だったという。

「ジャイアンツの若手時代、たまたまセットポジションで投球練習をしていたら、当時の藤田(元司)監督が『木田、その投げ方だ!』と指摘。以来、どんな場面でもセットポジションで投げるようになり、知らぬ間にそれがまわりにも浸透。この『いつでもセットポジション投法』、今ではあのダルビッシュ(有/レンジャーズ)も取り入れているんだから、感慨深いものがあります」(『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』より)

◎球界で最初にスパッツを履いた男

 野球選手がユニフォームの下に着るものといえば、アンダーシャツとスラパン(スライディングパンツ)だ。だが、最近ではスラパンの代わりにスパッツを着用する選手も多い。この「スパッツスタイル」を先駆けて実践したのも木田優夫だった。知人に薦められて履き始めたところ、これまた知らぬ間に周囲の選手に真似されるようになったという。

◎「投手兼営業」「GM兼投手」という取り組み

 2013年にBCリーグ・石川に所属してからは、現役選手として活動する傍ら、「投手兼営業」という肩書きで企業回りや球場でのイベント運営、街中でのビラ配りなども率先して行うようになった。さらに今季からは肩書きが「GM兼投手」に変わり、より深く球団運営にも携わるように。

 もちろん、木田優夫というキャラクターがあってこそ、できたことには間違いない。だが、新しい契約形態として、今後の選手たちのキャリアプランやファンサービスのあり方に一石を投じたのではないだろうか。

 引退会見では「いつかは監督業も」と指導者としての夢を語った木田。日米球界でのキャリア、日本ではセ・パ両リーグ、メジャーリーグでもア・ナ両リーグでプレーした経験、そして独立リーグでの実績など、これまでの野球選手にはない異色の経歴だから構築できる新たな指導者像を作り、また球界に戻ってきてもらいたい。(『週刊野球太郎』編集部)

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