91年センバツ4強ミラクル市川再現だ 河西1安打完封

[ 2014年7月11日 05:30 ]

<市川・甲府昭和>甲府昭和打線を1安打完封した市川・河西

山梨大会2回戦 市川6―0甲府昭和

(7月10日 山日YBS)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は10日、6大会で39試合が行われた。山梨大会では、夏は94年以来20年ぶりの甲子園出場を目指す市川が甲府昭和を6―0で下し、2年ぶりに初戦突破。河西晨帆(ときほ)投手(3年)が1安打完封勝利をマークした。埼玉大会では16年ぶりの出場を狙う滑川総合が延長10回の末に浦和北を5―3で破った。11日は18大会で111試合が行われる。
【7月10日の結果】

 最後はバテたが、一人で投げ抜いた。9回に3四球で2死満塁。120球目で遊飛に打ち取ると、市川のエース・河西は笑みを浮かべた。自身初の完封勝利。しかも1安打に抑える快投だ。

 「一人一人1回ずつ丁寧にと思って投げた。勝ててホッとしました」

 昨夏の初戦も先発したが、甲府商にコールド負け。それから1年、進化を見せた。「球速がない分、低めに初球から大事に投げる」とカーブ、チェンジアップを丁寧に制球し5回まで完全。6回に死球で初めて走者を出し、7回1死からは初安打となる二塁打を浴びたが、動じなかった。「ブルペンでもピンチを想定しながら投げていた」からだ。5四死球を与えながらも10奪三振。「数字は意識しない。チームが勝てば良いです」と胸をなで下ろした。

 市川の名が全国的に知られたのは91年のセンバツ。エース・樋渡を擁し、2試合連続で逆転サヨナラ勝ちし「ミラクル市川」と呼ばれた。11年に就任した今村彰宏コーチ(41)は、当時の主将。「樋渡の精神力の強さを、河西にはよく話した」という。ただ、それはもう20年以上も前の話。同コーチは「彼らには新しい伝統をつくってほしい」と期待を寄せる。

 河西は昨夏の大会終了後、自分を変えようと身延町内の実家を出て、学校近くに下宿。食事以外は全て自分でやらなければいけない環境に身を置き、母・順子さん(44)も「凄く落ち着いてプレーできるようになった」と話す。

 目指すは01年センバツ以来遠ざかる聖地。山梨学院大付や東海大甲府などライバルはひしめくが「当時の話は聞いたことがある。甲子園に出なければ、新しい伝統はつくれない」と河西。新たなミラクルを、この夏に起こす。

 ▽ミラクル市川 91年センバツで初出場ながらベスト4に進出。1回戦で浪速(大阪)を3―1で破ると、2回戦・宇都宮学園(栃木)戦では、2点を追う9回に3点を奪って逆転サヨナラ勝ち。桐生第一(群馬)との準々決勝では、1点を追う延長11回に2点を奪い、史上初の2試合連続逆転サヨナラ勝ちを果たした。準決勝で広陵(広島)に1―4で敗れたが、エース樋渡は4試合全てを1人で投げ抜いた。

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2014年7月11日のニュース