星野監督「涙が出ちゃう」チルドレンの男気あっぱれ

[ 2013年11月1日 06:00 ]

<巨・楽>お立ち台でファンの声援に応える星野監督

日本シリーズ 楽天4-2巨人

(10月31日 東京D)
 声も体も震えた。「いやあ、こんなにしびれたゲームないよ。うれしいね。本当に涙が出ちゃうよ」。監督として通算1134勝の白星を重ねてきた楽天の星野監督が感無量の表情を浮かべた。

 次々と勝負手を繰り出した。選手に常々言ってきた。「前につんのめってひっくり返ってもいいんだ。その先はそこから考えればいい」――。信念を采配に込めた。

 5回まで1安打無失点の辛島から、6回、則本に代えた。「迷うことなんてなかった。6回からいくと決めていた」。その則本が9回にマウンドに行く際は、両手を合わせて祈った。祈りは通じず同点。それでも「最後まで、自分で責任を取れと思った」。10回、先頭の則本に代打を出さなかった。ルーキー右腕と心中する覚悟だった。

 10回1死一、二塁。打者・銀次のフルカウントからランエンドヒットを仕掛けた。二塁走者は則本、一塁走者は左ふくらはぎに死球を受け、足をひきずっていた藤田だった。結果は中前打。投手の則本が走者のため、強烈な前進守備を敷かなかった巨人外野陣の裏をかいた。「あそこは勝負。銀次は空振りはしないと思っていた」。三振と盗塁死の併殺を恐れなかった。初めて中堅で先発起用したジョーンズを4回から左翼に回す守備シフトもはまった。そして王手への扉は開いた。

 「継投や投手起用を考えると夜も眠れない」。指揮官の机、枕元には常にメモ用紙とペンが置かれている。その大きな勝負手は「第1戦・則本、第2戦・田中」だった。その時点で、「則本初戦先発→リリーフ起用」は描かれていた。

 闘将が求め続けた魂の野球を重ね、若い選手がまとまった。球団初の日本一へのストーリーの最後は第6戦に先発する無敗エースの田中だ。

 「ここまでの舞台はみんなでつくった。後は(田中が)大いに力を発揮してくれればいい」

 永遠のライバルである巨人を倒し、球団初の日本一を成就させる。「東北、仙台の、皆さんの前で宙に舞いたい」。監督として4度目の大舞台。自身初の日本一の舞いへも、あとひとつだ。

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2013年11月1日のニュース