おかわり 狙って打ったV4号 西武CS決定!崖っ縁から6連勝

[ 2013年10月6日 06:00 ]

<楽・西>9回無死、左中間にソロ本塁打を放った中村(右)は片岡とヘッドタッチ

パ・リーグ 西武2-1楽天

(10月5日 Kスタ宮城)
 西武は5日、楽天に2―1で競り勝ち、3位以上が確定して4年連続のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。1―1の9回に中村剛也内野手(30)が左中間に決勝の4号ソロ。左膝手術から復帰した主砲が勝負強さを発揮し、チームを今季最多の6連勝に導いた。西武は12日から始まるCSファーストステージでロッテと対戦。勝者が17日から行われるファイナルステージで、リーグ優勝の楽天と日本シリーズ進出を懸けて争う。

 ヒーローインタビューを終えると、中村は小走りでロッカーに向かった。開いたドアから渡辺監督や主将の栗山らが待っている姿が見えた。笑みを浮かべ、飛び込んだ。

 「よっしゃあ!」。そして万雷の拍手と歓声。心地良く耳に響いた。

 「何とか1点を取りたいと思った。あんまり打ってないけど、たまにはいいところで打ったので多少は貢献できたかな」。1―1の9回、先頭で打席に入った。集中力を高め、一発だけを狙った。「直球が来たら振ろう」。則本の初球、ストライクゾーンに来たスライダーを見逃した。続く直球はボール。3球目、148キロの外角直球が来た。フルスイング。次の瞬間、打球は左中間席に消えた。「ヒットを狙いにいって、あんなスイングにならない。長打を狙った」。さすが、主砲だ。

 9月14日に一度は自力CS進出の可能性が消えた。同16日には3位・ソフトバンクに5ゲーム差をつけられた。ところが、徐々にはい上がると、同29日から今季最多の6連勝。渡辺監督は「こんな勝ち方、僕の経験でもありえない」と驚いた。崖っ縁から奇跡を起こしたのは、元4番の存在が間違いなく大きかった。

 昨秋の左膝手術後、長いリハビリが始まった。テレビ観戦、新聞で1軍の情報をチェックした。苦しみながらシーズンを戦っているのに、戦力になれない。「戦っていなくても負けるのを見るのは悔しくて、何とかならないかなと思って見ていた」。せめて、気持ちだけでも一緒に戦いたい。6月に1軍が期間限定で着用したサードユニホームの「Saitamaユニホーム」を着込み、フリー打撃に汗を流した。

 同ユニホームは8月まで毎月、着る機会があった。「俺は多分、着れないから」。それでも必死のリハビリで9月6日に復帰した。2軍での出場はわずか3試合。不安を抱えていたが、中村は言い聞かせた。「今年は“まあいいか”って。たまに良いところで打てればいい。思ったままに打とう」。持ち前の長打力でチームを奮い立たせ、CS進出に導いた。

 渡辺監督は今季のスローガン「骨太」にひっかけ、選手を称えた。「ぶっといですよ。心身ともにタフさがなければ勝てない。大したもの」。その目は潤んでいた。残り2試合。今度は1・5ゲーム差で追う2位・ロッテとCSの本拠地開催を懸けて争う。「全力で獲ってCSも頑張りたい」。中村の発した言葉は、これまで以上に力強く感じた。

 ≪一発出れば4戦無敗≫西武が10年以来4年連続のクライマックスシリーズ進出を決めた。この日は9回に中村が勝ち越しの4号ソロ。今季中村が本塁打するとチームは△○○○の3勝1分け。9月10日ソフトバンク戦の1号が同点、3日ソフトバンク戦の3号が勝ち越しと、4本中3本が殊勲アーチだ。また9月以降の西武の殊勲安打3傑を出すと(1)片岡8(2)中村7(3)浅村6。片岡、中村が1、2位と9月にチーム復帰した2人が打線を引っ張っている。

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