涌井 5日で5S 稲尾に並んだ球団タイ9連投 敵将も舌巻く

[ 2013年10月6日 06:00 ]

<楽・西>9回、力投する涌井

パ・リーグ 西武2-1楽天

(10月5日 Kスタ宮城)
 鉄仮面。1点リードの9回2死一塁、西武・涌井が西田を遊ゴロに仕留め、試合を締めた。チームのCS進出が決まっても、表情は変えない。バスに乗り込む前に、一言だけ言葉を発した。

 「ここまで来たら(残り2試合も)フル回転で頑張ります」

 11日間で176球。9試合連続登板にも音を上げない。負けられない戦いが続く中、9月25日楽天戦(西武ドーム)から終盤のマウンドに上がり続けた。同29日からは抑えを任され、その間の自責点は0だ。「投げられるだけ投げます」。昨年もシーズン途中から抑えに配置転換され、リーグ2位の30セーブ。最終回の緊張感の中で投げた経験は、自らの引き出しに加わっていた。

 5日連続セーブ。10月は18人の打者に対し、許した安打は2本だけ。この日も最速147キロを計測するなど、先発時には取り戻せなかった球威が、シーズン終盤でよみがえった。石井投手コーチは「しっかり前で放せるようになった」と、リリースポイントが打者に近くなった点を好投の要因に挙げた。そこには、確固たる裏付けがあった。

 PNF(固有受容性神経筋促通法)トレーニング。今季は開幕から調子が上がらずに、6月末から約1カ月間、2軍で調整した。フォームを見直し、プロ入り後初めて、肩関節の可動域を広げるトレーニングに着手した。もともと強じんな下半身に加え、上半身の動きもスムーズになった。だからこそ、連投にも耐えられるフォームになった。敵将の星野監督は「ここに来て、本当にいいボールを投げられるようになった」と舌を巻いた。

 最敬礼。過酷なマウンドに送り続けた渡辺監督は「頭が下がる」と背番号18を見つめた。涌井は今年6月に国内フリーエージェント(FA)の権利を取得。今オフには権利を行使することが確実だが、もう一仕事、元エースにはやるべき仕事が残っている。

 ≪プロ野球記録は14連投≫涌井(西)が9月25日楽天戦からチーム9試合に全て登板。プロ野球最多連投は1リーグ時代の44年に若林(神)が記録した14連投。パでは72年佐藤道(南海)の11連投だが、チームでは58年稲尾と並ぶ最多タイになった。なお涌井は9連投期間中11イニングを自責点0。1ホールド、5セーブを挙げ、チームの逆転CS進出に貢献している。

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