マー君 開幕15連勝並んだ斉藤氏と電話で「新記録はホークス戦かも」

[ 2013年8月3日 06:00 ]

<日・楽>開幕15連勝にナインとハイタッチする田中

パ・リーグ 楽天4-1日本ハム

(8月2日 札幌D)
 憧れに追いついた。楽天・田中将大投手(24)は2日、日本ハムを相手に1失点で4試合連続完投。今季最多の12奪三振で開幕15連勝を達成し、田中が目標としている斉藤和巳(ソフトバンク)らのプロ野球記録に並んだ。昨年8月からの連勝記録も19に更新。連続シーズンを含む連勝記録でも稲尾和久(西鉄)らが持つ20連勝のプロ野球記録にあと1勝に迫った。チームも5連勝(1分け挟む)で球団記録の貯金を17に伸ばした。

 今季最多の136球目、大引に対し、田中が最後に選んだ球は144キロのスプリットだった。中飛に打ち取り、プロ野球タイ記録の開幕15連勝。マウンドで吠えたが、この男は満足していない。

 「15連勝は節目ではなく、まだまだ通過点。今はうれしいですけど、また切り替えてやっていきたい」

 今季のテーマはまさに「不敗」。絶対的な自信を持つ変化球、スプリットがそれを支える。11年の春季キャンプ。田中はフォークを捨てることを決断した。「フォークは落差が大きい。(制球が)不安定だし、見極められやすい」。スプリットはフォークよりも高速で落ちる変化も小さい。打者は直球と見分けがつかず、「打ち損じを誘える」という。習得3年目。今や落差やスピードを操れる。今季最多の12三振を奪ったうち、スプリットで5三振を奪った。

 二刀流ルーキー大谷も手玉に取った。4打数無安打3三振。2、4回はいずれも143キロのスプリットで空振り三振を奪った。特に4回は一度浮き上がらせてから、急激に落とした。直球で押すよりも、打たせないことを最優先させた結果だろう。通算では8打数無安打、5奪三振だ。

 「憧れの投手」というソフトバンクの斉藤和巳に並んだ。駒大苫小牧3年だった06年、楽天に指名された後の10月12日だった。苫小牧市内の野球部寮でテレビにクギ付けになった。パ・リーグのプレーオフ第2ステージ第2戦(札幌ドーム)。0―1のサヨナラ負けでリーグ優勝を日本ハムに譲り、完投負けしてマウンドで号泣する投手がいた。それが斉藤。「あの投球は凄く印象に残っています」と振り返る。

 翌07年3月12日。新人時代のオープン戦で訪れた静岡で関係者を介し、食事をともにした。憧れの投手を前に、緊張しながらも野球に取り組む姿勢や投球術などさまざまな話を聞いた。その斉藤氏は7月29日に現役復帰を断念することを表明。電話で「お疲れさまでした。いろいろとありがとうございました」と感謝の思いを伝えた。

 「斉藤さんのような負けない投手になりたい」。プロ入り当初に語っていた目標は、偉大な先輩が悔し涙を流した札幌ドームで現実となった。次回登板は斉藤氏の古巣である9日のソフトバンク戦(Kスタ宮城)。開幕16連勝で憧れを超える。

 ▼斉藤和巳氏 (田中は)次元が違うところでやっている投手。自分はいつか負けるだろうと思いながらやっていた。その点、マー(田中)はもっと上を見てやっている選手。(電話で話した際)「勝ったら新記録(16連勝)はホークスになるかもしれません」とも言っていた。

 ≪同一シーズンの最多連勝は稲尾の20連勝≫田中(楽)が無傷の15連勝。同一シーズンの最多連勝記録は57年稲尾(西鉄)の20連勝だが、開幕からとなると81年間柴(日)、05年斉藤(ソ)の各15連勝に並ぶプロ野球タイ記録になった。また、昨季からは19連勝。連続シーズンも含む19連勝以上は51、52年松田(巨)、前記57年稲尾の各20連勝に次ぎ3人目。ドラフト制以降の入団では、81~85年中田(神)の18連勝を上回る最多記録で、次回の登板で56年ぶりの20連勝に挑戦する。

  ≪球団最多連続完投勝利並ぶ≫7月9日の日本ハム戦からは4試合連続完投となり、09年に自身が記録した球団の最多連続完投勝利に並んだ。また、7年目で通算90勝に到達。ドラフト制以降、高卒7年以内に90勝は、70年鈴木(近)の5年目、71年堀内(巨)、72年江夏(神)の各6年目、05年松坂(西)、11年ダルビッシュ(日)の各7年目に次ぎ6人目だ。

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2013年8月3日のニュース