左利きの右腕フェルナンデス初勝利「野球は右でやるものだと…」

[ 2012年7月2日 06:00 ]

<ヤ・神>お立ち台で笑顔を見せるプロ初勝利のヤクルト・フェルナンデス(左)と逆転3ランの田中

セ・リーグ ヤクルト9-5阪神

(7月1日 神宮)
 来日8年目のブラジル人投手に勝ち星が舞い込んだ。田中とともにお立ち台に上がったヤクルトのフェルナンデスは「うれしい。今まで苦しんできたおかげで初勝利できたのかな。もっといい投手になって、チームの勝ちにつなげたい」と流ちょうな日本語で感激に浸った。

 2点を追う6回に登板。先頭マートンに中前打を許し、その後1死満塁とされたが、新井良をカットボールで空振り三振、続く浅井を右飛に。直球の最速は140キロも冷静にピンチを切り抜けた。その直後に田中の逆転3ランが飛び出すと、ベンチで拳を突き上げた。

 サッカーの本場、ブラジル・サンパウロ出身。7歳の時に観賞した映画で野球と出合い、10歳から始めた。左利きだが「野球は右でやるものだと思っていた」と右投げ右打ちに。高校時代はキューバ人コーチから指導を受け「好きな投手はペドロ・マルティネス(元レッドソックス)」とメジャーに憧れた時期もあった。しかし、白鴎大に留学した先輩と同じ道を選び、日本にやってきた。

 大学では通算2勝ながら、将来性を買われ、08年に育成ドラフト1位で入団。昨季途中に支配下選手として登録され、これが通算3試合目の登板だった。ウイニングボールは、オフに帰国した際に父・アミュルトンさん(51)に手渡すという。球団初の育成枠出身投手の勝利に、小川監督も「数字に残るし自信にしてもらいたい」と称えた。ブラジル生まれの右腕が、異国の地で新たな一歩を刻んだ。

 ◆ラファエル・フェルナンデス 1986年4月23日、ブラジル・サンパウロ生まれの26歳。10歳で外野手として野球を始める。カントリーキッズ高1年から本格的に投手を務め、エースとして3度の全国優勝に貢献。卒業後来日し、白鴎大では関甲新大学リーグで通算2勝。08年育成ドラフト1位で入団し、11年6月に支配下選手登録。1メートル80、78キロ。右投げ右打ち。

 ▽ブラジル出身のプロ野球選手 96年から広島と楽天で11年間プレーし、34勝を挙げた玉木重雄が日本初のブラジル出身選手。その後数人が国内球団に在籍したが、これまで1軍の試合に出場したのは野手のユウイチとフェルナンデスのみで、勝利投手はフェルナンデスが2人目。他に現役では同じヤクルトの育成選手で曲尾とウーゴがいる。

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2012年7月2日のニュース