爆笑采配!?阿部ズッコケた…原監督 2回に代打の速攻奪首 

[ 2012年7月2日 06:00 ]

<巨・中>2回無死満塁、代打・矢野のコールに思わずズッコケる巨人・阿部(右)と、笑顔の(左から)古城、村田。先発の田原(左奥)は苦笑い

セ・リーグ 巨人7-5中日

(7月1日 東京D)
 攻撃的采配がズバリ的中した。巨人は1日、中日との首位攻防戦に3連勝。今季2度目の5連勝で、6月7日以来の単独首位に浮上した。原辰徳監督(53)は0―0の2回無死満塁で、プロ初先発の新人右腕・田原誠次投手(22)に代打を送ると、矢野謙次外野手(31)が先制の右中間2点二塁打で期待に応えた。この3試合は全て先制逃げ切り。原監督は早めの仕掛けで、チームを首位に押し上げた。

 原監督の仕掛けは早かった。2連勝で迎えた首位攻防第3ラウンド。0―0の2回無死満塁、ヘルメットをかぶり、バットを手にベンチを出ようとした田原を右手で制した。プロ初先発だった新人右腕を2回無失点で交代させ、代打・矢野を告げたのだ。女房役の阿部がベンチから思わずずり落ちる格好をしてみせたほど。その思い切った勝負手に、4万5044人の大観衆がざわめいた。

 「考えましたけど、あそこは攻撃に転ずるという決断をした。本来ローテーションに入っているピッチャーならそのままでしたけど、きょうは特殊な想定だったのでね」

 そして、指揮官の期待に矢野が応える。フルカウントから右中間を破る先制の2点適時二塁打。「行けと言われれば行く気でいた。田原ももっと投げたいという気持ちがあったと思う。その気持ちをつなげていくことができた」と矢野。さらに長野の二ゴロで1点を加え、主導権を握った。

 決して行き当たりばったりのゲームメークではない。原監督が下した「攻撃に転ずるという決断」。岡崎ヘッドコーチは「特に中日はピッチャーがいいチームで、先行させるとどんどんいい投手が出てくる」と説明した。2回の守りの時点ですでに福田、高木京がブルペンで準備。抑えから中継ぎに回った西村には前日、川口投手総合コーチが「イニングまたぎもある」と告げていた。

 第1戦は沢村、第2戦は杉内と完投能力のある投手を起用したが、ローテーションの谷間の第3戦は最初から継投策を想定していた。原監督が無失点の先発投手を戦術上の理由で2回で交代させたのは初めて。それだけ「勝負どころ」と踏んでいた。5点リードから最後は2点差に迫られるヒヤヒヤの展開も、3連戦全てが先制逃げ切り。中日の勝ちパターンである守護神・岩瀬を一度も出させなかった。

 中日相手の同一カード3連勝は昨年10月14~16日(東京ドーム)以来。これで本拠地・東京ドームでの中日戦は1分けを挟み8連勝となった。「同一カードで3連勝するのは大変なことですしね。それが取れたのは非常に大きい」。原監督は自らの采配で試合を動かし、7月を単独首位でスタートさせた。

 ▼巨人・阿部 田原にはもう少し投げさせてあげたかったけど、ただチームが決めたことなのでね。

 ≪原監督指揮下で2回以下で降板は4人目≫原監督の指揮下で先発投手が無失点のまま2回以下で降板したのは田原で4人目。過去3人は02年10月10日ヤクルト戦の武田(1/3回)、10年8月3日阪神戦のグライシンガー(1回0/3)、今季5月16日オリックス戦の宮国(1回)。武田は引退試合のお別れ登板でグライシンガー、宮国は故障のため。田原のように戦術上の理由でマウンドを降りたのは初めて。

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