つかめ“巨人の星”!最多登板左腕はいつも「全力」

[ 2008年9月2日 07:21 ]

8月31日の阪神戦で7回から登板し8勝目を挙げた巨人・山口

 「育成の星」から「巨人の星」へ。山口鉄也投手(24)は今や巨人救援陣に不可欠な戦力だ。「毎試合、投げるときは全力で投げたい」と話す左腕が巨人を支えている。

 1日現在、チーム最多の54試合に登板し、8勝2敗1セーブ、防御率2・01の成績を残している。「たまたま自分が投げた次の回に点を取ってくれるから」と謙遜するが、勝ち星が伸びるのは同点や接戦の状況で、確実に抑えているからにほかならない。横手気味のフォームから投げ込む140キロ台後半の直球と切れのいいスライダーで、豊田、クルーンとともに必勝リレーの一端を担う。
 山口は有力選手をかき集める巨人では異色の経歴だ。ドラフトで指名されなかったため、神奈川・横浜商高を卒業後に米国へ渡り、ダイヤモンドバックス傘下のルーキーリーグへ。「給料は月10万円ぐらい。言葉や食生活で苦労した」という厳しい環境に身を置き、腕を磨いた。育成選手として2006年に巨人入り。07年4月に支配下選手契約を勝ち取り、ここまではい上がってきた。
 それだけに野球に取り組む姿勢は真摯。同じ救援左腕の藤田とはよく食事をともにし、精神面での助言を受ける。「本来暑さにはあまり強くない」と言うが、連投が続いた夏場は捕手を立たせての投球練習を強めにやり、少ない球数で仕上げるよう調整を工夫。また寝るときに左腕を冷やさないようにタオルでくるむなど、細心の注意を払って乗り切った。
 周囲からは資格を有する“新人王”との声も上がるが、山口は「それは意識しないです」と浮かれることはない。投げられる喜びを胸に、これからも思い切り左腕を振るつもりだ。

 ◆山口 鉄也(やまぐち・てつや)神奈川・横浜商高から米大リーグのダイヤモンドバックス傘下のルーキーリーグを経て、育成ドラフトで06年に巨人入団。07年4月に支配下選手登録。同5月9日に育成選手出身として初めての1軍勝利投手になった。183センチ、74キロ。左投げ左打ち。24歳。神奈川県出身。

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2008年9月2日のニュース