桑田が投げた!清原が打った!友情のKK対決

[ 2008年7月30日 06:00 ]

久々に清原と桑田氏の“KK対決”が実現

 伝説の「KK対決」がよみがえった。オリックス・清原和博内野手(40)が29日、今季限りで引退した前パイレーツの桑田真澄氏(40)と兵庫・神戸市のスカイマークスタジアムで38球の“対決”。8月3日のソフトバンク戦(京セラドーム)での1軍復帰を控え、特別打撃投手を買って出た盟友に“サク越え”で応えた。大阪・PL学園で出会い、25年間プロ野球界で切磋琢磨(せっさたくま)してきた2人の友情は永遠に続く。

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 日が暮れかけた午後5時半。18・44メートルの距離を通した2人だけの“会話”だ。パイレーツの背番号「18」のユニホームを着た桑田氏がシャープな体から力強い直球を投げ込む。2軍のサーパスではなくオリックスのユニホーム姿で打席に立った清原は鋭いスイングで応えた。PL学園に入学した15歳から25年間。互いの代わりはいない、大切なライバル同士だった。
 18球目は桑田氏が打たれた瞬間「これは行ったでしょ」と笑うほどの鮮やかな右越え弾。31球目が終わると、清原が口を開いた。「ここから真剣勝負な」。桑田氏は「それは全力で投げてもいいってこと?」。ここからはオール直球だ。“カウント2―1”から清原がファウルで3球粘り、最後は豪快な空振り。全38球で31スイング、ヒット性は6本。歩み寄った2人は抱き合った。
 公式戦で最後に対決したのは、94年10月27日の日本シリーズ第5戦(西武)。この時は清原が2本塁打を浴びせた。今年3月に桑田氏が現役引退を表明。昨年7月に左ひざ軟骨移植手術を受けた清原は、リハビリ中に一報を聞いた。「1軍が見えてきた時に投げてもらおうと思った」。桑田氏も引退後の夢について「キヨの打撃投手をやりたい」。2人の思いは一致した。
 桑田氏の帰国から約2週間後の4月17日。2人は神戸市内で語り合った。中華料理を食べ、清原が桑田氏のために用意したワインを飲んだ。

 桑田氏「(今まで)ありがとう」。

 清原「きれいっていうか、お前らしい、いいやめ方だ。ぽっかり穴が空いたような気がした。結局、お前がやってるからオレもやってたんだなあ。よく分かったよ」。

 午後8時頃から始まった食事会は、気がつけば午前4時を回った。
 桑田氏は打撃投手をするためだけに、現役時代さながらのトレーニングを続けていた。「アマチュアのボールは投げたくなかった。引退してから考えるのは高校時代のことばかり。彼がいなければ、もっと早くに野球をやめていた」。26球目で左足首にピッチャーライナーの打球を受けたが、コールドスプレーをして投げ続けた。
 「プロに入った時以上の恐怖、不安でいっぱいだが、桑田に背中をポンと押してもらった。生涯最高の練習をさせてもらった。本当に感謝している」。感謝の気持ちはバットに込める。ユニホームを脱いだ親友の分まで――。清原は1軍のグラウンドに帰ってくる。

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2008年7月30日のニュース