イチローたまげた 投手ヘルナンデスが満弾

[ 2008年6月25日 06:00 ]

<メッツ・マリナーズ>2回表2死満塁、ふだんはDH制のため打席に入らないヘルナンデス(34)が右中間に満塁本塁打を放ち、イチロー(中央)に迎えられる

 【マリナーズ5―2メッツ】イチローもたまげる歴史的一発だ。マリナーズのフェリックス・ヘルナンデス投手(22)は23日(日本時間24日)のメッツとの敵地交流戦で、2回に現役最強左腕サンタナから右中間へ満塁本塁打を放った。投手の本塁打は球団初、ア・リーグ投手の満塁弾も37年ぶりで、DH制以降では初の快挙。ヘルナンデスは5回2死で負傷降板し、勝利投手の権利を逃したが、チームは継投で逃げ切り連敗を2で止めた。

 パワーでスタンドへねじ込んだ。ネクストバッターズサークルで待つイチローの前で1メートル90、103キロの剛腕ヘルナンデスが豪快な一発。しかも過去に2度サイ・ヤング賞に輝く最強左腕サンタナから逆方向に運んだ。
 「本塁打はリトルリーグ以来。目いっぱい振ることだけ考えた。目はつぶっていたよ」
 “事件”が起きたのは2回2死満塁。右打席で初球のボール気味の高め直球をフルスイング。右中間席に消える打球を確認すると、22歳は両手を2度叩き無邪気に喜んだ。ア・リーグ投手では実に37年ぶり、DH制施行後は初となる歴史的グランドスラム。サンタナが投手に本塁打を打たれるのは初めて、満塁被弾も2度目だった。本塁でヒーローを迎えたイチローも「あれを見ると、体の大きさと飛距離が比例する感じだね」と驚きを通り越してあきれるしかない。初球打ちを指示したリグルマン監督の判断にも「さすがと思った。チャンスがあるとしたら早い段階しかなかった」とうなずいていた。
 若きエースは守備でも波乱の主役だった。5回2死三塁から暴投のベースカバーに入った本塁上でスライディングを受けて左足首を捻挫し、勝利投手の権利を得る目前で無念の降板。だが、エースの一発で奪ったリードを5投手のリレーで守り切った。
 イチローも点にはならなかったが、7回に一塁内野安打で出塁し、鮮やかな二盗。2回に二ゴロで全力疾走も際どい判定でアウトとなった分を取り返し「めちゃくちゃ大きい」と喜んだ。マ軍は5月にヤンキースタジアムで6戦全敗。球場は違うが、鬼門ニューヨークで今季初勝利を挙げた。苦しい状況に変わりはないが、歴史的な一発で挙げた1勝を浮上のきっかけにするしかない。

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2008年6月25日のニュース