バントで左前タイムリー 楽天珍打で大勝

[ 2008年5月10日 06:00 ]

<ロッテ・楽天>4回無死一、二塁、山下はバントで左前まで打球を転がす

 【楽天11―4ロッテ】野村楽天が「珍打」で2位タイに浮上だ。楽天は9日のロッテ戦で2試合連続の先発全員安打となる今季最多17安打の猛攻で11―4と大勝。2点リードの4回無死一、二塁から山下勝充内野手(30)の送りバントが“左前タイムリーバント安打”となる強運も味方につけた。連勝で貯金を1とし、4月30日以来の2位に浮上。さらに球団最速となる39試合目の20勝到達と、野村野球が結実し始めた。

 手応えは完ぺきだった。4回無死一、二塁から山下は狙っていた。シンでとらえた打球がグングン転がる。抜けたのは投手・小野と三塁手・今江のど真ん中。遊撃・西岡が三塁カバーに入ったバントシフトで無人となった三遊間をコロ、コロ、コロ…。ロッテナインをあざ笑うかのような遅さで“左前タイムリーバント安打”を生んだ山下がしてやったりと目を見開いた。
 「カチンと行きましたよ。抜けろって思ってました。サードに絶対捕らせようと思っていたのでよかった。でも初めてですね。あんなの」
 つながる打線は何をやってもうまくいく。2点リードの4回に「珍打」で奪った3点目は、ロッテから戦意を奪うには十分だった。ベンチで野球少年のように両手を叩いて喜んだ野村監督は「強めにサード目がけてやったのが、いいところに行っちゃったよ、偶然」と言いながら、二塁併殺を狙ったロッテの極端なバントシフトを逆手に取って満足げ。ロッテ・バレンタイン監督が「うちの守りのタイミングがやや遅れた。本来、併殺を取れるプレー。また同じことをやってくれば次は」と悔しがったのを知ってか知らずか「古いよ。一世紀前の野球だ。ああいうものにバッターが惑わされたりしない。意味が分からない。守ってる方も疲れるんじゃないか」と言い放った。
 2試合連続の先発全員安打で今季最多の17安打の大勝。好調の打線に偶然生まれた珍打に見えるが、西武の186得点に迫るリーグ2位の185得点を生み出す象徴だった。本拠地・Kスタ宮城では常時、三塁ベンチ前にバント練習用のマシンを設置。今季は山崎武も毎試合前に必ずバント練習をきっちりこなす。あるコーチは「山崎のああいう姿を見れば若いやつも取り組み方が違ってくる」と指摘。最年長から若手まで高いレベルで勝利への意識統一が、打線のつながりとなって表れている。
 野村の考えが浸透しての猛攻&珍打に、指揮官は「攻撃の方は満点に近い。きょうは理想的。雰囲気は悪くないよ」と満足げ。そして帰りのバスに向かう道すがら、ファンの大声援に両手を振ってこう喜びを表現した。「オレはキムタク以上だな。ここ(千葉)のファンはありがたい」。球団最速の20勝到達で2位タイに浮上。野村楽天はその上も本気で狙っている。

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2008年5月10日のニュース