日大アメフト部 大麻だけじゃない“覚醒剤” 「悪質タックル」からわずか5年

[ 2023年8月4日 04:30 ]

家宅捜索を終え、日大アメフト部の寮から出てくる捜査員
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 日大アメリカンフットボール部員の大麻所持疑惑で、同部の寮(東京都中野区)から乾燥大麻と覚醒剤成分を含む錠剤が見つかっていたことが3日、分かった。警視庁薬物銃器対策課がこの日、覚醒剤取締法違反と大麻取締法違反容疑で寮を家宅捜索。2018年に社会問題化した「悪質タックル問題」以来の激震が走っている。警視庁は所有者の特定や入手ルートの解明を急ぐ。

 この日午後1時すぎ「薬物銃器対策課」などと書かれた腕章をつけたワイシャツ姿の捜査員約20人が、段ボールやかばんなどを手に寮に入った。捜査員が屋上を歩いて、下を見ながら何かを調べる様子も見られた。捜索は約5時間にわたって続き、午後6時ごろに捜査員が引き揚げた。この間、大学側の関係者が数人出入りしたが、部員の姿はなかった。

 東京都千代田区の日大本部前には約40人の報道陣が集まった。林真理子理事長(69)は午後8時前に地下駐車場から車に乗って出たが、取材に応じることはなかった。

 大学側は部員のほか、退部者、監督、コーチら指導者を対象に聞き取りなどの調査を進めている。同部は現在、全体練習を控えており、日大広報課は3日、寮の捜索を受け「捜査に全面的に協力する」とコメントした。本紙は林理事長らが会見する予定があるかも確認したが、回答はなかった。夜には公式サイトで学生や関係者らに向け「多大なご心配とご迷惑をお掛けしていることを心よりおわび申し上げます」と謝罪した。

 保護者を名乗る人物から「部員が大麻を使用している」との情報が寄せられ、大学側が7月に寮を調べて植物片と錠剤を発見。相談を受けた警視庁が同月19日ごろに押収して鑑定したところ、植物片は大麻で、錠剤には覚醒剤成分が含まれていることが判明した。

 捜査関係者によると、押収された大麻、覚醒剤はいずれも少量とみられる。警視庁は今後、所有者の特定や入手ルートの解明を進める。大麻疑惑が1日に報じられ、証拠隠滅などを防ぐため家宅捜索に踏み切ったとみられる。

 日大アメフト部は18年の関学大との定期戦での「悪質タックル問題」が社会問題になった。その後、立命大出身の橋詰功前監督が再建に尽力。だが、21年夏で契約が終わり、その後は日大OBが監督に就任していた。スポーツライターの小林信也氏は「林さんが組織改革を進めている最中だが、運動部はどうしてもOBの意向が強く簡単に立ち入れない。そういったことが問題の温床になりやすい」と指摘した。

 日大アメフト部は来月からリーグ戦が予定されているが、周囲からは「出場は困難」との見方も出ている。部員らの逮捕や組織的な犯行という最悪の事態になれば無期限の活動停止は避けられない。

 ▽日大アメリカンフットボール部 1940年創部。OBの篠竹幹夫氏(故人)が監督に就任した59年からチーム強化が進み「ショットガン隊形」からのパスを武器に、61年から甲子園ボウル4連覇、78年から同5連覇と21回の優勝を誇る。関学大とともに学生フットボール界をリードする。チーム名はフェニックス。

 《日大不祥事の経過》
 ▽18年5月6日 アメフト部が、関学大との定期戦で悪質タックル
 ▽同29日 関東学生連盟が元監督、元コーチの除名など処分発表。チームは条件付き出場資格停止に
 ▽9月1日 立命大OBの橋詰功氏が監督に就任
 ▽21年9月 板橋病院建て替え工事を巡り東京地検特捜部が背任容疑で日大本部や田中英寿元理事長宅などを捜索
 ▽10月7日 背任容疑で理事ら2人を逮捕
 ▽同29日 所得税法違反容疑で田中元理事長を逮捕
 ▽12月1日 田中元理事長が理事長職を辞任
 ▽22年3月29日 東京地裁が田中元理事長に執行猶予付き有罪判決
 ▽4月7日 日大が次期理事長を学外者とし理事も一新するとの報告書を文部科学省に提出
 ▽同13日 田中元理事長の有罪確定
 ▽7月4日 林真理子氏が理事長に就任

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