萩野、銀!…でも「悔しい」“永遠のスター”フェルプスには歯が立たず

[ 2016年8月13日 05:30 ]

200m個人メドレー2位萩野(右)は1位のマイケル・フェルプスと健闘をたたえ合う

リオデジャネイロ五輪 競泳男子200メートル個人メドレー決勝

(8月11日)
 競泳男子200メートル個人メドレー決勝で、萩野公介(21=東洋大)が1分56秒61で銀メダルを獲得した。序盤に出遅れながら、最後の50メートルで3人をかわし、金メダルに輝いた400メートル個人メドレー、800メートルリレーの銅と合わせて今大会3個目のメダルとなった。藤森太将(25=ミキハウス)が4位で、マイケル・フェルプス(31=米国)が4連覇を達成した。

 萩野はぼう然としていた。銀メダルを首から下げて、ただ一点を見つめながら「もっといい泳ぎをしたかった。実力不足です」と肩を落とした。

 今大会で引退する意向を示している“水の怪物”フェルプスとの対決を楽しみにしていた。「僕にとっての永遠の目標であり、永遠のスター」。小学校の時から憧れた男とのラストマッチ。五輪前には2カ月間の欧州遠征を行い「いい勝負をする準備をしてきたし、そうでありたいとずっとトレーニングを積んできた」。400メートル個人メドレーでは瀬戸を下して金メダルを獲得。800メートルリレーでは52年ぶりの銅メダルで歓喜し、満を持してこの日を迎えた。

 地元のスターで15年世界選手権銀メダルのチアゴ・ペレイラとフェルプスの登場で、場内は大歓声に包まれた。異様な雰囲気の中、スタートから飛ばすペレイラ、フェルプス。2人に続く萩野は50メートルで体半分リードを奪われた。普段であれば得意の背泳ぎで波に乗るが、逆に4番手に落とした。「いつもより少し後ろにいる」。普段とは違う光景に違和感を覚え、平泳ぎで5番手となり最後の自由形に入った。

 「動け」。トップに食らいついていたライバル勢が失速する中、150メートルから懸命にスパートをかけ3人を抜いたが、最大のターゲットだったフェルプスとの距離は一向に縮まらず「アレじゃ勝負になっていない。全然悔しい」とため息をついた。

 昨年6月のフランス遠征中に自転車で転倒して右肘を骨折。リハビリを担当した三富氏は「シビアな骨折」と説明したが、今でも右肘は真っすぐ伸び切らない。左腕がマイナス10度まで曲がる萩野の右肘は状態が悪いと10度までしか曲がらず左右で差がある。大会前の2カ月間の遠征中でも時折、痛みが生じて大会中もアイシングで患部を労った。平井伯昌コーチは「伸びないから、4年後を考えたら手術した方がいいのか、せずに治るものなのか」と出術に踏み切る可能性も示唆した。

 金、銀、銅。3色のメダルを獲得した男は4年後の東京五輪は日本の顔を務めることになる。それぞれの色にさまざまな思いが込めれたレースを終えて「ぜいたくと言われるかもないけど、もっともっとできたオリンピックだった」と振り返り、次なる戦いへ「強くなりたい」と力を込めた。

 ▼五輪1大会で全種類のメダルを獲得した日本人 56年メルボルン、60年ローマの小野喬が最初。以降、68年メキシコ、72年ミュンヘンの中山彰規、72年には監物永三、笠松茂、76年モントリオールの塚原光男、84年ロサンゼルスの具志堅幸司、森末慎二と7人のべ9度は全て体操選手。萩野は32年ぶりの快挙を体操以外では初めて達成したことになる。

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