山崎 貫禄8度目V!3大会連続五輪代表に決定

[ 2012年4月16日 06:00 ]

3時間41分47秒でゴールする、優勝した山崎勇喜

陸上日本選手権50キロ競歩 

(4月15日 石川県輪島市・日本陸連公認周回コース)
 陸上日本選手権50キロ競歩はロンドン五輪代表選考会を兼ねて行われ、北京五輪7位の山崎勇喜(28=自衛隊)が3時間41分47秒で優勝し、3大会連続の五輪代表に決まった。同種目では森岡紘一朗(27=富士通)に続いて2人目の代表決定。山崎は7キロ手前でスパートし、45キロすぎまでは日本記録を上回るペースで第一人者としての貫禄を示した。

 苦悶(くもん)の表情だった山崎がゴールに飛び込んだ瞬間、解放的な笑みを浮かべた。ラスト5キロの失速で、自身の持つ日本記録には1分35秒届かなかった。それでも「再び五輪を目指せるところまで来て、たくさんの人に感謝したい」と祝福の輪の中で叫んだ。

 07年大阪世界選手権で競技役員の誘導ミスにより規定周回数を1周残したままゴール。棄権扱いとなり一躍有名になった。08年北京五輪は日本初の7位入賞で汚名返上したが、10年6月に右膝を負傷し競技人生は暗転した。膝を伸ばすと痛みが広がる。競歩は膝を曲げて歩くと反則となるだけに「致命傷だった」。昨年2月に練習復帰したが違和感は取れず「引退かもしれない」と母・やす子さん(61)に弱音を吐いたこともあった。

 だが、家族の支えもあってリハビリを続行すると、今年に入って右膝は完治。3月の中国・昆明合宿では1日80キロを歩き込み手応えをつかんだ。この日は父・哲誠さん(63)とやす子さんを富山から招待。最高の結果で親孝行を果たした。

 気候条件は違うが、昨年の世界選手権の優勝タイムと23秒差で、昨年の世界ランク6位に相当する。「手応えを感じている。3時間40分を切れる感触がある」と胸を張る。昨年春に所属先を変更。自衛隊所属の陸上選手の五輪出場は、64年東京五輪マラソン銅の円谷幸吉以来となる。「(ロンドンは)最後になるかもしれない。五輪でメダルを獲るのが夢」。どん底からはい上がった第一人者の本当の戦いが幕を開けた。

 ▽50キロ競歩日本選手権成績
(1)山崎勇喜(自衛隊)3時間41分47秒
(2)谷井孝行(佐川急便)3時間43分56秒
(3)森岡紘一朗(富士通)3時間45分22秒
 (五輪派遣標準記録3時間51分59秒、五輪参加標準記録A3時間59分、B4時間9分)

 ◇山崎 勇喜(やまざき・ゆうき)富山商時代に5000メートル競歩で高校記録を樹立。50キロ競歩で04年アテネ五輪16位、08年北京五輪では7位入賞した。07年世界選手権では誘導ミスで途中棄権。順大出、自衛隊。1メートル79、60キロ。28歳。富山県出身。

 ▽競歩の代表選考 日本陸連は今大会で、派遣標準記録の3時間52分を切るタイムで優勝すれば、五輪代表とする選考基準を設置。山崎がクリアした。昨年の世界選手権で森岡が日本人最上位の6位に入り、50キロ代表に内定。代表は最大3人となるため、2位の谷井も実績面を考慮され、代表入りが濃厚となった。6月8日開幕の陸上日本選手権終了後の理事会で正式に承認される。

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2012年4月16日のニュース