“素行不良”若ノ鵬大麻所持で逮捕

[ 2008年8月19日 06:00 ]

名古屋場所千秋楽で対戦する若ノ鵬

 警視庁組織犯罪対策第5課は18日、大麻取締法違反(所持)の疑いで、大相撲・間垣部屋のロシア出身力士、若ノ鵬(20=本名・ガグロエフ・ソスラン・アレキサンドロヴィッチ)を逮捕した。調べによると若ノ鵬は6月24日、自宅近くの路上周辺で大麻を含む乾燥植物片などの混合物0・368グラムを所持した疑い。自宅マンションと間垣部屋を家宅捜索し、自宅から大麻吸引器具を押収。若ノ鵬も容疑を認めているという。

 長い大相撲の歴史の中で、現役幕内力士が逮捕されるという前代未聞の不祥事が起きた。
 同課の調べによると、若ノ鵬は6月24日に東京・錦糸町駅近くの路上で財布を落とし、その中にロシア製のたばこ1本が入っていたという。通行人の女性がそれを拾い近くの交番に届けたところ、たばこから大麻特有のにおいがしたため成分を鑑定。財布の中には外国人登録証も入っており、所有者が特定された。若ノ鵬自身は別の交番に財布を落としたと届け出ていた。
 同課は大麻の吸引具を自宅から押収。若ノ鵬は夏巡業に参加していたが、9日の仙台巡業の稽古中に左足首を負傷し、帰京していた。調べに対し、容疑を認め「六本木で外国人からもらった」と供述。同課は常習的に大麻を吸っていた疑いもあるとみて調べている。
 ロシア出身の若ノ鵬は素行の悪さで有名だった。5月の夏場所では、敗れた腹いせに支度部屋の風呂場の棚を殴打して破壊。審判部から注意を受けた。6月のロサンゼルス巡業では会場へ向かうバスの集合時間に遅れ巡業部から厳重注意を受けていた。また本場所の出番前の支度部屋でヘッドホンから大音響で音楽を流すなど、常識を逸脱した行動が目立っていた。
 しかし師匠の間垣親方(元横綱・2代目若乃花)は、部屋に個室が余っているにもかかわらず若ノ鵬が19歳の若さでマンションに住むことを認めるなどわがままを許した。弟子が逮捕されたこの日、間垣親方は青森県内の実家に帰省中で、代わって対応した部屋関係者が「親方はあした(19日)の夕方に部屋に戻り、その後で警察の事情聴取を受ける予定」と説明した。
 間垣親方は夏場所に弟子への暴行で相撲協会から減俸処分を受けたばかり。相次ぐ重大トラブルに師匠の監督責任を問う声は大きい。日本相撲協会は早ければ、19日にも理事会を開く予定だが、事件の影響を考慮すれば若ノ鵬の解雇は必至。師匠にも理事降格を含めた処分が下される可能性が高い。

 ◆若ノ鵬 寿則(わかのほう・としのり=本名・ガグロエフ・ソスラン・アレキサンドロヴィッチ)1988年7月8日、ロシア連邦北オセチア・アラニア共和国アラギル市生まれの20歳。15歳の時にアマレスの120キロ級でロシアチャンピオンに輝く。同じロシア出身の幕内力士・露鵬の紹介もあり間垣部屋に入門し、05年春場所に初土俵。順調に番付を駆け上がり、初土俵から17場所のスピード出世で07年初場所で十両昇進。同九州場所で新入幕を果たした。最高位は前頭筆頭。1メートル95、162キロ。幕内通算39勝36敗。

続きを表示

2008年8月19日のニュース