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丸山“練習生”から滑り込み!278日ぶりなでしこ復帰

[ 2012年6月15日 06:00 ]

ロンドンもマル山!?ウォームアップ中、矢野(右)と談笑する丸山

スウェーデン遠征&五輪予備登録メンバー発表

(6月14日)
 日本サッカー協会は14日、沢穂希(33=INAC神戸)らロンドン五輪予備登録メンバー35人を発表した。スウェーデン遠征(18~20日)に臨むなでしこジャパンは同日、4日間の国内合宿を打ち上げ、羽田発の航空機で決戦の地へ出発。20人の遠征メンバーには負傷離脱した岩渕真奈(19=日テレ)の代役として、練習生だったFW丸山桂里奈(29=大阪高槻)が合流。昨年9月の右膝前十字じん帯損傷の大ケガから復活し、18人のロンドン五輪メンバー入りへ一歩を踏み出した。
【スウェーデン遠征メンバー 五輪予備登録メンバー】

 なでしこジャパンの一員のみが、着ることを許される黒色のスーツ。半年ぶりに「なでしこの象徴」を身にまとった丸山は出発地の羽田空港で満足そうな表情を見せた。当初は国内合宿のみの参加だったが、右膝をケガした昨年9月11日以来278日ぶりの代表入り。「合宿初日に実家からパスポートを送ってもらいました。選ばれるつもりでやってましたから」と、いたずらっぽく笑った。

 合宿3日目、13日の練習後のミーティングだった。「練習生の中で連れて行くのは丸山」。佐々木監督から名前を呼ばれた瞬間、苦しかった9カ月間の記憶と新たな決意が丸山の頭をめぐった。「連れて行ってもらえないと、アピールする場が減る。うれしかったけど、ここからが勝負です」。昨年7月のW杯では準々決勝ドイツ戦で決勝弾を決め、一躍脚光を浴びた。だが、2カ月後の五輪最終予選・中国戦で右膝前十字じん帯を損傷。一気に地獄へ叩き落とされた。リハビリ中も明るく振る舞っていたが、右膝だけでなく、心も痛んだ。「テレビで試合をみるとつらかったし、焦っていた」。それでも復活する日を信じ、通常のリハビリのほかに、ひたすら走り込みを行った。「できる限りのことをしよう」と時間があれば、屋外に出て必死にもがき、反復運動の地味なメニューにも積極的にトライ。すべてをリセットするため、今季から大阪高槻に移籍した。

 ザックジャパンのエース、本田圭佑(26)の存在も心の支えとなっている。W杯アジア最終予選のオーストラリア戦(12日)でアシストを決めたドリブル突破の場面に感化された丸山は「本田選手みたいに仕掛けないと点は生まれない。意識するプレーは、やっぱり得点ですね」と話す。18人の枠をめぐるサバイバル競争が開幕。笑顔がセールスポイントの29歳は羽田の搭乗ゲートをくぐった瞬間、別人のように表情を険しくさせた。絶対に負けたくない悲壮な決意。それだけはスウェーデンに持っていく。 

 ▽丸山 桂里奈(まるやま・かりな)1983年(昭58)3月26日、東京都大田区生まれの29歳。小6からサッカーを始め、東京ガスサッカースクール、読売メニーナ、村田女高、日体大、東京電力マリーゼ、フィラデルフィア(米女子プロリーグ)、千葉を経て今季から大阪高槻。05年Lリーグ新人王。02年に日本代表初招集。03年W杯、04年アテネ五輪、08年北京五輪、11年W杯に出場。通算68試合14得点。利き足は右。血液型O。1メートル63、55キロ。

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