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五輪内定1号!愛子「世界の完ぺき女王様」

[ 2009年3月8日 06:00 ]

女子モーグル決勝でエアを決める上村愛子

 フリースタイルスキーの世界選手権第5日は7日、福島・猪苗代町のリステルスキーファンタジアで行われ、女子モーグル決勝で上村愛子(29=北野建設)が初優勝し、2010年バンクーバー五輪の日本代表内定第1号となった。ターン、エア、スピードのすべてでトップとなり、トリノ五輪金メダルの2位ジェニファー・ハイル(カナダ)に1・83点の大差をつける24・71点で圧勝。この種目の世界選手権日本人初優勝で、今大会の表彰台という五輪代表内定条件を満たした。伊藤みき(21=中京大)は4位、里谷多英(32=フジテレビ)は9位。男子は西伸幸(23=白馬ク)の4位が最高だった。

【Go!アスリート 上村愛子】

 両拳を突き上げて叫んだのは「やった~!!」だ。決勝の最終滑走、上村の目に飛び込んだのは、画面に表示された最高得点。「第2エアを跳び上がったときから“いい滑りができてる”って。あと1ターンくらい残して、手を上げかけた」。世界大会初出場から13シーズンで初めての女王の称号は「本当に気持ち良かった」という最高の滑りがもたらした。
 「今までにない緊張があって、足の先から力が抜けていきそうになった」。猛烈な重圧だった。地元開催、五輪出場権の期待。最大斜度37度の世界屈指の難コースは午前中の予選では硬く、決勝の午後には軟らかく変化した。だが「コーチから“頭の先からつめの先まで戦っていけ”と言われた」という決勝は「自分の滑りを信じた」。ターン、エア、タイムすべて1位の圧倒的な滑りに「難しいと思っていた気持ちに勝ったのも“やった~”です」と笑った。
 精神的な弱さ。上村の前にはいつもその言葉があった。メダルの期待が高かったトリノ五輪も「失敗したらどうしよう」と自分を追いつめた。しかし、トリノ後に就任したヤンネ・ラハテラ・チーフコーチは、徹底したターン技術とともに、前向きな姿勢を教えてくれた。「今は“緊張してる”って口に出す。自分に向き合えるようになったのが成長だと思う」
 この表彰台で日本の五輪内定選手1号となり、4度目の大舞台へのカウントダウンが始まる。「いつもと全然違う緊張だったけど、五輪も一緒かな。これで五輪の緊張感の練習ができたと思う」と“準備完了”を口にした上村に、ラハテラコーチはこう言った。「この優勝でアイコはハッピーじゃない。OKくらい。だって1年後には五輪があるんだ」。それは02年五輪王者の与えた、金メダルのお墨付きのようだった。

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2009年3月8日のニュース