【競輪コラム】ベテランも死力を尽くすスタート争い!ギアを下げてラインに貢献

[ 2025年7月10日 05:30 ]

ギアを下げスタートに死力を尽くした大内達也
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 初手、初手、とにかく初手。現代スピード競輪で展開、結果に直結する超重要なファクターだ。特にミッドナイトは競走得点の高い順に内から車番が割り当てられる。強い自力が車番を生かして前受け、突っ張って逃げ切りライン決着。3連単100円台というのはよく見る光景だ。そんな劣勢を何とか覆そうとするベテランたちがいた。

 7月1日の弥彦ミッドナイト初日。宮城の支部長・大内達也(53=宮城・72期)がある策を講じて初手の争いを制した。127期の新人が率いるラインと北日本の2分線。新人に前を取られた時点でジエンドという構成だったが、大内がスタートを全開で出て前を確保した。結果は捲った新人が1着だったが、北日本3車は2~4着で2人が勝ち上がった。大内が講じたのはギアを3・92から3・85にし、発走機を出た直後の1、2歩目を軽くした。

 大内は「基本は絶対に若い子の方が速い。半歩遅れたら終わりなので」と何が何でもという思いだった。このガッツは味方に火をつける。北日本の先頭で戦った自力選手は「大内さんがスタートを頑張ってくれたので気合が入った。ああいうのって自力選手としては頑張ろうってなるんですよ」。競輪らしくラインで勝ち上がろうという戦いそのものでもある。

 ただ、ギアを下げるのはリスクもある。大内は北日本の番手だったが、前をかわせず、後ろにはかわされて4着。勝ち上がりを逃した。スタートで脚を使うのもあるが、ギアを下げたことでスピードが上がってからの伸びがなくなるのだ。「スタートで脚が削られても、そこ(スタート)に全部かけるしかない」。突っ張られたらそこで終わり。支部長はまず勝負権を得るために捨て身でもあった。
 
 この翌日500勝レーサーの倉岡慎太郎(57=熊本・59期)も外枠からスタートで前を確保。「スタートのコツ?気合だよ(笑い)。スタートを取っていっぱいだった。でも、前を取らないと勝負にならないし、自力選手も頑張ってくれるから」と柔和な笑顔で話してくれた。ただ、ベテランらしい悩みもあり、「脚が回復しきらないんだよ。もう1周あればと思うんだけど…」と吐露。A級は周回が4周しかないため、レースが動く赤板まで2周では脚がたまらないという。それでも、スタートで負けた時点で勝負権がないと大ベテランも痛感している。

 ミッドナイトはライト層を取り入れるためにも当たりやすさが重視されている。チャレンジは若手自力型の力だけ抜けており、ベテランの力差はほぼない。番組と展開次第だ。そこで、何とか初手で確保し、自身の結果、ラインに貢献する。7月から本デビューする新人のスピードにも注目したいが、スタートから死力を尽くすベテランもぜひ見てほしい。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の30歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。スタートの速さを見るため、レース映像はダイジェストではなくYouTubeでスタートから巻き戻して見る。

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