【チャンピオンズC】真の王者だ!サウンドトゥルー後方一気V

[ 2016年12月5日 05:30 ]

<チャンピオンズC>勝利し馬上でファンに向かって手を振る大野拓弥騎手
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 ダートの頂上決戦「第17回チャンピオンズC」が4日、中京競馬場で行われ6番人気の6歳馬サウンドトゥルーが、後方一気の追い込みV。昨年3着の雪辱を果たし、JRA・G1初優勝を飾った。関東馬の同レース制覇は、前身のJCダートも含め02年イーグルカフェ以来14年ぶり2頭目。ダート無敗6連勝中で注目された1番人気アウォーディーは2着に敗れた。

 向正面。縦長の隊列を後方2番手から運ぶサウンドトゥルーと、先頭を行くモンドクラッセとは20馬身以上の差があった。それでも大野に焦りはない。3~4角は内ラチ沿いをロスなく走らせ、余力を存分に残して直線へ。先行勢と中団馬群の間に生まれた切れ目に、無理なく馬を誘導すると、前方の視界に入ったアウォーディーをめがけ、必死の右ステッキ。6連勝馬との差を1完歩ごとに詰め、最後は首差ねじ伏せた。

 「最高の結果ですね」。大野は冷静に振り返った。「道中はリズム良く走らせる。それだけ考えて乗った。進路は結果的にどこでも選べる形になったが、思った通りに前が空いた。馬に勢いがあったので残り100メートルで届くと思った」。昨年も同じ後方2番手からの運びだったが、直線で進路がなく大外まで持ち出すロスが響いて3着止まり。「進路取りさえ間違わなければ」。1年間、胸にとどめてきた思いを、鞍上は見事に形にして見せた。

 会見場に姿を現した高木師の声はかれていた。「こんなに叫んだのは初めて。スカッとしました」。レース運びについては「(位置取りは)やはりそこかと…。道中も何度か大丈夫かと思った」と本音も吐露したが、指揮官はパドックで大野にひと言だけ告げていた。「(乗り方は)おまえに任せる」。鞍上は「先生はズルいですよね。僕の方が責任が大きくなってしまう」と冗談めかしたが、厚い信頼が好騎乗をアシストしたのは間違いない。

 大野&高木師のコンビはスノードラゴン(14年スプリンターズS)に次いで中央G1・2勝目。師が「脚質も似ていて、いつもしびれるね。大野がいろいろ教え込んだ馬で、大目標を勝てたのはうれしい」と話すと、大野も「僕を主戦として扱ってくれている先生に、少しは恩返しができたかな」と表情を引き締めた。

 年明け7歳となるサウンドだが、師は「コロッとした短距離馬のような体つきが、ようやくたくましくなってきたところ。まだ成長が見込める」と期待する。次走は連覇の懸かる統一G1東京大賞典(29日、大井)が濃厚。「今日の勝利は自信につながった」と言う大野とのコンビで、まだまだファンを楽しませてくれそうだ。

 ◆サウンドトゥルー 父フレンチデピュティ 母キョウエイトルース(母の父フジキセキ)セン6歳 美浦・高木厩舎所属 馬主・山田弘氏 生産者・北海道新ひだか町岡田スタツド 戦績38戦9勝(うち地方8戦2勝)総獲得賞金4億5578万8000円(うち地方1億9840万円)。

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