【スプリンターズS】ハクサンムーン 悲願のG1制覇へこん身仕上げ
さあ、秋のG1シーズン到来だ!開幕戦は「第49回スプリンターズS」。悲願のG1タイトル奪取を狙うハクサンムーン(牡6=西園)は、これまでスプリントG1・2着2回、3着1回と実績上位の存在。陣営が「ラストチャンス」と捉える一戦に、こん身の仕上げで挑む。
【スプリンターズS】
悲願のG1タイトル奪取へ、こん身の勝負仕上げで臨む。実力馬ハクサンムーンは中2週だが、調教を緩めることなくビッシリと乗り込まれた。1週前はいつも通り最終の坂路で単走追い。蹄跡が残る荒れた馬場をブレることなく真一文字に駆け上がり、ラストは1F12秒5と鋭い反応を見せた。これまでスプリントG1・2着2回、3着1回とあと一歩のところで涙をのんだ。「ラストチャンスかなという気はしている」(西園師)。熱気を帯びた稽古を見るだけで、陣営のこのレースに懸ける執念がひしひしと伝わってくる。
担当の桜井助手も思いは同じ。「前走は絶好の条件だったけど、気持ちが乗っていなかった。年齢的なズブさが出てきたのかも。いつも1週前は反応を確かめる程度だけど、今回は悔いが残らないように仕上げた。休養明けを叩いて体つきはシャープになっています」
前哨戦のセントウルSは発馬を決めて無理なく2番手を楽に追走するも、直線は伸びを欠いてまさかの8着。「(休養明けで)これまでにないぐらい行きっぷりが良かった」。戦前に稽古役の田中助手が抜群の手応えを口にしたように、態勢は万全だった。ところが、直線でいつもは鞍上のGOサインに自ら替えるはずの手前は逆のまま。エンジンがかからず消化不良の一戦になってしまった。
この敗戦は6歳という「年齢」の一言では片付けられない。一昨年からスプリント戦線のトップホースとして君臨し続け、今春の高松宮記念でもタフな馬場を2番手からしぶとく伸びて2着。スプリント王国の刺客・香港馬エアロヴェロシティに半馬身屈したが、“国内最強”の座は譲らなかった。
西園師も巻き返しへ、強気の姿勢を崩さない。「今年は一昨年2着の中山。やっぱり(ハナに)行った時の方がいい結果が出ているしハイペースでも叩いて主張したい。このまま終わるわけにはいかない」。トレーナーは早くも“玉砕覚悟”の逃げ宣言をして、ライバル陣営をけん制する。「来るなら来い、その勝負受けて立つ」――。持ち前のスピードをフルに生かし4角を先頭で回ったとき、夢が成就するかもしれない。
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