71歳“生きる伝説”加藤、公営最年長V「えらいことしちゃった」

[ 2013年3月26日 06:00 ]

戸田ボート12Rの優勝戦に勝ち、ピットに引き揚げて万歳する加藤峻二

 71歳2カ月の現役ボートレーサー・加藤峻二が公営競技史上最年長優勝記録を更新した。25日に埼玉・ボートレース戸田で開催されていたレースで達成。高塚清一の65歳10カ月を大幅に塗り替えた。

 世のシルバー世代を勇気づける快挙が起こった。水上を80キロのスピードで疾走するモーターボートで争うボートレースで、71歳2カ月の“おじいちゃんレーサー”が、20代の若者を破って優勝したのだ。

 レース展開に恵まれた勝利だった。スタートで立ち遅れたものの、最初のコーナーで本命を背負っていた1号艇の24歳・佐藤が転覆。そこへ5号艇の27歳・秦が乗り上げ、若きライバル2人が消えた。そんな波乱の展開にも百戦錬磨のベテランレーサーは冷静に対応。巧みに2番手で旋回し、次のターンで先頭に立つとそのまま押し切り、3連単2万4550円の大穴を演出した。

 02年12月以来11年ぶり、通算120回目の優勝を飾った加藤は意気揚々と引き揚げてきた。「皆さんの応援のおかげでえらいことしちゃいました」と顔をくしゃくしゃにして喜んだ。

 加藤は現役最年長選手でもある。ボートレース界では“生きる伝説”と呼ばれる存在だ。70年代には巧みな旋回術を武器に、当時の強豪選手だった野中和夫氏や中道善博氏と互角にわたり合い、ボートレース界のビッグレース「笹川賞」などSG競走を3度も優勝。またファン投票で選出される同レースで、3度も1位選出されたほどの人気レーサーだった。

 公営競技の中では最も選手寿命が長いとされるボートレース。ケガさえしなければ60歳を超えても現役でいられるが、優勝ともなれば話は別。今年1月29日に65歳10カ月で優勝した高塚清一(静岡)の最年長V記録を、一気に5歳4カ月も更新した加藤の記録は永遠に破られることはないだろう。

 今回の優勝で加藤は「エンジンさえ動いてくれれば、まだまだ何とか走れるな」と意気軒高。同世代へのエールを頼まれると「偉そうに何も言うことないよ」と一度は謙遜したものの、「でも一生懸命やっていればいいことはあるよ」と穏やかな笑みを浮かべた。選手生活53年、地道に歩んできた加藤の人生そのものが世の中に向けたメッセージだった。

 ◆加藤 峻二(かとう・しゅんじ)1942年(昭17)1月12日生まれの71歳。埼玉支部所属。59年6月登録の5期生で現役の同期生はなし。ボート界のビッグレースSG競走3回を含め、通算優勝回数は120回を誇る。生涯獲得賞金は16億1127万4463円。1メートル63、50キロ、血液型A。

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