【JCダート】アッ逃!!圧倒!!トラン連覇

[ 2011年12月5日 06:00 ]

<JCダート>エスポワールシチー(右端)など後続を寄せ付けず連覇を果たしたトランセンド(左端)

 王者が力で15頭をねじ伏せた。「第12回JCダート」は1番人気トランセンドが昨年に続く逃げ切り勝ち。レース初の連覇を達成した。2馬身差の2着はワンダーアキュート、一昨年の覇者エスポワールシチーは3着に敗れた。トランセンドは今年G1・3勝目。来年は今年2着に敗れたドバイワールドCに再び挑む。

 小細工はいらない。逃げにこだわった昨年覇者トランセンドが今年も冬の仁川で力を誇示した。食い下がるワンダーアキュートに2馬身差をつけて力強くゴールへ。完勝と言える内容で通算4度目のG1制覇。藤田は安どの表情を浮かべた。

 「とりあえず1番人気に応えられてホッとした。行って負けたら仕方ない。それくらいの出来だと聞いていたからね」

 不安材料とされた大外16番枠、同型馬の存在も終わってみれば関係なし。人馬ぴったりと息の合った迷いなき走りで試練を乗り越えた。好スタートを切ると藤田は気合をつけながらジワッと加速。すぐ隣のトウショウフリーク、内のエスポワールシチーを制してハナへ。やや強引に切り込んでいったため審議対象(藤田は1コーナーの内斜行で過怠金7万円)にはなったが、絶対に引かないという強い構えが内の馬のダッシュを鈍らせた。

 鞍上が思い描いた策はただ1つ。「強い競馬をするには(ハナに)行くしかない」。前走・JBCクラシックは逃げたスマートファルコンを捉えられず2着。「(今回も他馬に)行かれていたら負けていたかも」と危ぐしていた藤田はこの馬本来のスタイルを貫き通した。「これまで2番手の競馬も試みたけど勝負どころの行きっぷりが違う。1コーナーまでロスがあっても行き切れば勝てると思っていた。それで2馬身差だからね。強い内容だった」

 鞍上のイメージと結果が一致。勝利を見届けた安田師は「前走も状態は良かったけど今回は一番いい状態で臨めた。ホント強かった」と満面の笑みを浮かべた。G1初制覇からちょうど1年。今年はフェブラリーSに南部杯と東京マイルでG1・2勝、春のドバイワールドCでは惜しくも2着に敗れたものの世界に向けて、その名をアピールした。充実の一年を最高の形で締めくくり、次のステージへ。来年春も今年と同じく、フェブラリーS(2月19日、東京)→ドバイワールドCを予定。安田師は「ドバイに行って心身共にたくましくなった。来年はさらなる飛躍が期待できるし、ぜひドバイでタイトルを獲りたい」と力を込める。ゴールはまだ先。日本が誇るダート王が来年も国内外でG1戦線を盛り上げていく。

 ◆トランセンド 父ワイルドラッシュ 母シネマスコープ(母の父トニービン) 牡5歳 栗東・安田厩舎所属 馬主・前田幸治氏 生産者・北海道新冠町ノースヒルズマネジメント 戦績19戦10勝(うち地方2戦0勝、海外1戦0勝) 総獲得賞金7億8014万4900円。

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