【菊花賞】ビッグウィークに漂う下克上の雰囲気

[ 2010年10月22日 06:00 ]

 【G1ドキュメント 21日】馬場開門直後の午前6時10分、記者フロアに衝撃が走った。JRA職員の「6時半から藤原調教師がお話しになりたいことがあります」に、井上もエイシンフラッシュの菊花賞自重を察した。案の定、藤原英師は「結論から言いますと出走を取りやめます」と。ダービー馬が戦わずして去った。これで賞金1500万円の8頭が全馬無抽選で出走できることになった。

 ビッグウィークも賞金1500万円だが神戸新聞杯3着で優先出走権を得ている。先週併せ馬で行きたがってゲシュタルトに遅れたが、この日は中川助手を背に単走で上がりをスムーズに決めた。3000メートル決戦の最重要ポイントは折り合い。その点で文句はない。
 長浜厩舎へ。まずは影山助手が夏場3連勝の理由を説明した。「新馬8着の後、2着を3回続けたけど、あの頃ソエ(管骨骨膜炎)がずっと痛かったんです。で、放牧(5カ月)に出た」。痛いところがなくなり3連勝。余勢を駆って神戸新聞杯3着に食い込んだ。中川助手が追い切りの手応えも含めて話を継ぐ。「しまい重点。折り合いついて本当に良かったですよ。デビュー前に武豊騎手も“この馬、ゆくゆくは走ってきますよ”って」
 猛暑の中で走り続けたにしては元気。「他の馬がハーハー言ってるときでもケロッとしてた。心肺機能が強いんです」。父バゴは04年凱旋門賞馬で母の父はサンデーサイレンス。スマートな体形はステイヤーの証。遅れてきた戦士が菊絵巻を下克上に塗り替える。

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2010年10月22日のニュース