【NHKマイルC】驚速シャンティ、ダービー挑戦状!

[ 2010年5月10日 06:00 ]

日本レコードでレースを制したダノンシャンティ

 驚異のレコードでまず1冠!!3歳マイル王決定戦「第15回NHKマイルC」が9日、東京競馬場で行われた。1番人気ダノンシャンティが大外から力強く差し切ってG1初制覇、勝ち時計の1分31秒4は従来の日本レコード(1分31秒5=ゼンノエルシド)を破る驚速時計だった。安藤勝己騎手(50)、松田国英師(59)ともに04年キングカメハメハ以来の同レース制覇。次走ダービー(30日、東京)で、そのカメハメハが演じたG1連勝の再現をもくろむ。

 過酷な消耗戦の覇者は大外からやってきた。直線、サンライズプリンスが先頭に立つ。ダイワバーバリアンが必死にかわす。そこに外からダノンシャンティが迫った。左ムチ連打の安藤勝。残り100メートルでついに先頭だ。ダイワが抵抗しかけたが、これでどうだ、とばかりに突き放した。ゴール前では抑える圧勝。その強さにスタンドがどよめく中、ターフビジョンに衝撃の数字が浮かび上がった。「1分31秒4!!」。古馬をも超える日本レコード更新。ため息が漏れた。
 決着から8分後。検量室前では松田国師が早々と2冠獲りを宣言した。「次を見据えた今回は、そんなに(厳しい調教を)やっていない。まだ余裕があるし、もう次への調整は楽。これならダービーもいける」。ダービー2勝の指揮官にVを確信させるだけの強さがあった。1000メートル通過56秒3の激流を後方から追走。四角でも後ろから3番手。大外から直線だけで15頭をかわしきった。上がり3Fは1頭だけ33秒台(33秒5)。モノが違った。
 「流れが速いと思ったが、まさかこんな時計とは。ただ、並んだ時には大丈夫と思った」と安藤勝。絶好の芝コンディション。内を刈り込み、先行馬が残る競馬が続く中、名手は馬を信じた。「馬に任せたら知らぬ間に後方にいた。でもガムシャラに出していくより、馬の良さを生かしたかった。強さは分かっていた。不利を受けぬようスムーズに外を回せば勝つと思っていた」。
 松田国師は馬とともに自分を信じた。クロフネ、キングカメハメハで成功した毎日杯Vからの必勝ローテーション。そして数々のサンデーサイレンス産駒を手がけて得た「SS系は1回仕上げれば強い調教はいらない」との教訓を実践した。「信念を崩さず一途にやってきたのが良かったかな」と感慨深げに語った。
 次走はダービー。狙うは毎日杯、NHKマイルC、ダービーを3連勝したキングカメハメハの再現。松田国師は「父フジキセキの根性に母系の長距離適性がミックスされている」と距離克服に自信をみせる。安藤勝は「ヴィクトワールピサ、ペルーサも強いが胸を張って挑戦したい」と力を込めた。近年まれにみる超ハイレベルなダービー戦線へ、ダノンシャンティは強烈な挑戦状を叩きつけた。

 ≪9年ぶりの日本レコード更新≫ダノンシャンティの勝ち時計1分31秒4は日本レコード。01年京成杯AH(中山)でゼンノエルシドが記録した1分31秒5を9年ぶりに塗り替えた。なお、東京マイルの従来のレコードは03年富士Sでミレニアムバイオがマークした1分32秒0。NHKマイルCのレースレコードは昨年のジョーカプチーノの1分32秒4だった。

 ≪オーナーG1初制覇に感無量≫ダノンシャンティを所有する野田順弘ダノックス代表(71)はG1初制覇。08年阪神JF(ダノンベルベール=2着)など惜しいレースはあっただけに「ずっと悔しい思いをしてきたが、パッとはじけて青空が見えたようだ。まさかレコードとは」と感無量の表情だった。また、ダーレー・ジャパン・ファームは生産者としてG1初出走でのV。母シャンソネットは昨年死去しており、同馬が日本では唯一の産駒。三嶋健一郎代表(37)は「子供のころから丈夫で、順調に育ってくれた。これを励みにこれからも頑張りたい」と話した。

 ◆ダノンシャンティ 父フジキセキ 母シャンソネット(母の父マークオブエスティーム)牡3歳 栗東・松田国英厩舎所属 馬主・ダノックス 生産者・北海道沙流郡日高町ダーレー・ジャパン・ファーム 戦績5戦3勝 総獲得賞金1億6653万4000円。

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2010年5月10日のニュース