皐月へは迷わず行けよ、アントニオ!!/シンザン記念

[ 2009年1月12日 06:00 ]

<シンザン記念>アントニオバローズ(手前)が快勝

 クラシック候補が東西で勝ち名乗りを上げた。「第43回シンザン記念」が11日、京都競馬場で行われ、角田晃一騎手(38)騎乗のアントニオバローズが競り合いを制して重賞初制覇。騎手時代に3冠馬シンザンに騎乗した武田博調教師(63)は6年ぶりの重賞制覇を飾った。

【シンザン記念


 底知れぬ可能性を秘めた重賞ウイナーの誕生だ。アントニオバローズの両目には折り合い難を矯正するためホライゾネットを装着。それでも引っ掛かった。鞍上・角田が3番手で懸命になだめる。3コーナーでペースが上がると今度は集中力を欠いてハミを取ろうとしない。やむなく角田が右ムチの連打で闘魂を注入。直線では首を使わず、嫌がるように頭を上げた。スタートでは後手を踏んでおり、出遅れる→引っ掛かる→反応が悪いの三重苦。それでもゴール前、内で粘るダブルウェッジを外から差し切った。持てる力の半分も出していない。

 角田は08年1月の平安S(クワイエットデイ)以来1年ぶりの重賞制覇を決めても、目元をほんの少し緩めただけだった。「返し馬から気負っていたし、ゲートのタイミングも合わなかった。まだまだ不安な点があったけど併せてから本当にしぶとかった。とりあえず勝ってくれて良かった」。粗削りな大物をVゴールに導き、安どのため息を漏らす。「でも、これで満足してはいられない。こうやって1つ1つ課題をクリアして、もっと上を目指していかないと駄目な馬ですから」と続けた。

 未勝利戦の勝利から格上挑戦でシンザン記念を勝ったのは02年タニノギムレット以来。2歳の8月に新馬戦2着→12月の未勝利戦1着の臨戦過程も4カ月後にダービー馬となったギムレットと同じ。デビュー3戦目の同レースVも最少キャリアタイ。「こんなに物見をする(集中力を欠く)馬は初めて」。21年目のベテランジョッキーは苦笑いしながら、規格外の性能にほれ込んで調教も付きっ切りで騎乗してきた。重賞勝ちで大器の相が証明された。まずは皐月賞が目標。武田師は「臆病なところのある馬だからすべて安心というわけじゃないけど、使うたびに少しずつ良くなっている」とかつて騎乗したシンザンのように大きく育てるつもりだ。

 ▼アントニオバローズ 父マンハッタンカフェ 母リトルアロー(母の父キングマンボ)牡3歳 栗東・武田厩舎所属 馬主・猪熊広次氏 生産者・北海道新冠町前川隆範氏 戦績3戦2勝 総獲得賞金4833万2000円。

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2009年1月12日のニュース