長谷川穂積氏が世紀の一戦を分析「真剣の斬り合いと一緒」井上尚弥はボクシングの神様に愛された
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元世界3階級制覇王者の長谷川穂積氏(45)が、自身のYouTube「長谷川穂積のラウンド13」を更新。中継の解説を務めた長谷川氏が観た世紀の一戦を解説した。
2日の世界スーパーバンタム級4団体統一王座タイトルマッチ、井上尚弥(33=大橋)―中谷潤人(28=M・T)の試合をリングサイドで見守った長谷川氏は「真剣の斬り合いと一緒だから空振ってもお客さんの歓声が凄かった」と振り返った。
長谷川氏は井上尚の凄さについて、「駆け引き、空間のつくり方、フェイント、体の動かし方、打ちそうで打たない、打たなそうで打つ、ボクシングで大事な間を外すっていうのを1ラウンド目からずっとやっつているのがすごい」と説明した。
「これをやるには脳が疲れる。ずっと高い集中力でいないといけないから」。それが出来るのは井上尚だから。だが、この驚異的な集中力が皮肉にも中盤以降で失速の要因となった可能性を指摘した。
一方の中谷は「ビデオを見返してもロープに詰まってからの駆け引きのうまさであったり、距離、空間のつくり方もうまかった。中谷選手にしか打てないパンチの角度、打ち方、ポジションもすごいうまかった」と説明した。
この超技術戦が序盤は続いた。
試合の流れが変わったのは8ラウンド目。「中谷選手がこのままではポイントで勝てないと前に出た」ことで、井上尚が僅かに失速する。
「井上選手は脳の高度な駆け引きから近い距離でのパンチ交換に変わって、変ないい方かもしれないですけど集中力が切れたというか、戦い方が変わってちょっと疲れたのかなと思いましたね。ものすごい脳の使い方をしていたのが、急に打ち合いになるとすごい疲れやすくなる」と、説明した。
8ラウンド以降は中谷が攻勢をかけてポイントを取り返し始めた。
10ラウンドの偶然のバッティングでも勢いは衰えなかった。「カットして流れが変わるかなと思ったが、中谷選手がすぐ(攻めて)行ったのもよかった。あれができる精神力の強さと試合のつくり方のうまさを感じた。井上選手がああやって明確にポイントを取られたのはほぼ初めてだったと思います」と、絶対王者が35戦目にして初めて押されるラウンドを経験したのではないかという。
中谷に勝利の可能性が見えた11ラウンド。左目の眼窩底骨折する右アッパーを浴びる。
「もちろん井上選手は練習していただろうし、狙っていたパンチってのもあるんですけど、あの右アッパーを打てるのは神に愛された選手だなと思いましたね」と、感嘆の声を上げた。
長谷川氏にはボクシングの神様が井上尚の右手を上げたように見えた。
2人に物理的にもボクサーとしても一番近い場所にいた名王者だからこその見解。井上尚の超高度なボクシングの僅かな隙を突いて出た中谷の技術と精神力。それを超えた井上尚の一撃はボクシングという競技を極めた長谷川氏をも魅了したようだ。
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