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【浜田剛史氏が占う尚弥VS中谷】現時点で尚弥の総合力と経験が上、中谷の鍵は…

[ 2025年12月29日 05:05 ]

地元サウジアラビアの人々の中を帰途につく井上尚弥(撮影・長久保 豊)
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 井上にとって、ピカソは倒しにくい相手だった。ガードで顔面、ボディーを守り、パンチも2発打ったらすぐにガードに戻した。倒されなければいいボクシングをする相手は、攻めにくい。井上も過去のダウン経験から、攻めにいきすぎなかった印象だ。

 こういう相手には、8割の力のパンチが有効だ。10割を8割にするとパンチの回転が良くなって手数が増え、同時に、打ち終わりを狙う相手のパンチもよけやすくなる。そうすると、相手は苦しくなって前に出ざるを得なくなるため、そこに10割のパンチを打つ戦法もあっただろう。

 中谷は、私の採点はドローだった。今までで最も苦しい試合で、2人の2点差の採点は、違うジャッジなら、負けていた可能性もあっただろう。

 この日の中谷は、スタンスを広くし、ジャブも含めて下からパンチを出した。1階級上げ、今までより背が高い相手を想定したのだろうが、裏目だった。スタンスを広げると踏ん張るため、足を使いにくい。下から出すパンチは、中谷の特長である、長い距離から打ち落とす強いパンチを消してしまった。

 中谷はショートレンジも強いが、相手の体力と手数に押された。エルナンデスは、1階級上だからというよりも、どの階級にもいるタフでパワーがある選手で、中谷には未体験のタイプだったのだろう。この経験を今後に生かしてほしい。

 井上VS中谷は、現時点で井上の総合力と経験が、一枚も二枚も上と言わざるを得ない。打ち合ったら、井上のパンチ力が勝る。中谷としては、この日の反省も生かし、長い距離を保ち、足を使った状態から強いパンチを打てるかどうかが、鍵になるだろう。(元WBC世界スーパーライト級王者)

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