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尚弥に追い風 ボブ・アラム・プロモーターが4団体王座統一戦の日本開催を容認

[ 2022年6月13日 05:32 ]

井上尚弥
Photo By スポニチ

 ボクシングのWBA&WBC&IBF統一世界バンタム級王者・井上尚弥(29=大橋)と契約を結ぶ米興行大手トップランク社のボブ・アラムCEO(90)が11日、ニューヨークで取材に応じた。日本人で初めて米リング誌のパウンド・フォー・パウンド(PFP、全階級を通じての最強ランキング)1位に選出された井上を称え、WBO同級王者ポール・バトラー(33=英国)との4団体統一戦の日本開催を容認する姿勢を示した。

 マジソンスクエアガーデンのフールーシアターで行われた興行に姿を見せたアラムCEOは、笑顔で井上について話し出した。「井上はとてつもない選手だ。彼こそが世界最高のボクサーだと思っている」。10日にリング誌が井上を日本人初のPFP1位に選出。チャベス、デラホーヤ、メイウェザー、パッキャオら多くのPFPキングをプロモートしてきた名伯楽は「1位に私も同意する。何の疑いもないよ。リングマガジンは適切な選択をした」とうなずいた。

 井上はノニト・ドネア(フィリピン)との再戦で衝撃的な2回TKO勝ちを収め、日本人初の3団体王座統一を達成した。アラム氏は「2回で終わっても驚きはしなかった。第1戦は少しためらいがちに戦っているように見えた。右目(周辺)の骨折も影響したのだろう」と分析。「今回はより状態が良く、伸び伸びとパンチを放っていた。井上がそういうコンディションで戦えば、バンタム級で対抗できる選手はいない」と断言した。

 今後は「バトラーとの4団体統一戦実現を望んでいる」とし、井上陣営、交渉の窓口である帝拳ジムの本田明彦会長と方向性を話し合うという。開催地については「金銭的な状況次第」とし、日本開催を容認する姿勢を明かした。「日本ではアマゾンプライムがボクシングビジネスに参入し、先日の試合で素晴らしい成果を上げた(配信初日視聴数史上1位)と聞いている。彼らが次戦も日本開催を望むのであれば私たちも構わない。できれば年内に井上の試合を米国でも組みたいが、次戦でなくても構わない」。バトラーが来日を希望しており、井上陣営も12月中旬に都内の会場を仮押さえするなど国内開催実現へ向けて準備中。アラム氏は「アマゾンプライムのおかげで、現状では井上の試合は日本開催が理にかなうのかもしれない」と解説した。

 《試合前に肩負傷…「2周間前に1回注射」明かす》井上は12日、フジテレビの「ワイドナショー」でドネア戦後初めてテレビ出演。「実は試合前に肩を痛めていて、2週間に1回くらい注射を打ちに行っていた」と明かした。大橋ジムの大橋秀行会長や父・真吾トレーナーもドネア戦後、部位を明かさずに“異変”があったと認めていたが、試合には全く影響なし。井上も8日の一夜明け会見で「何かありましたっけ?」と笑い飛ばしていた。

 【トップランク社と契約後の井上の試合】

 ▼米ラスベガス(20年10月31日)20年4月開催が発表されたWBOバンタム級王者カシメロ(フィリピン)との統一戦が新型コロナウイルスの感染拡大で中止。WBO1位モロニー(オーストラリア)との防衛戦に変更され、“バブル”開催ながらラスベガスデビュー戦で7回KO勝ち。

 ▼米ラスベガス(21年6月19日)IBFの指名挑戦者ダスマリナス(フィリピン)に3回KO勝ち。

 ▼東京(同年12月14日)両国国技館で2年1カ月ぶりの国内試合でディパエン(タイ)に8回TKO勝ち。観衆は7000人。

 ▼さいたま市(22年6月7日)ドネアとの再戦に2回TKO勝ち。さいたまスーパーアリーナに観衆1万7000人。アマゾンプライムビデオで初めて生配信された。

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