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尚弥、ベガス初陣“パッキャオの道”へ! 1年ぶりのリングでモンスター伝説「第2幕」開幕

[ 2020年11月1日 05:30 ]

WBA&IBF世界バンタム級タイトルマッチ   統一王者 井上尚弥《12回戦》WBA2位・IBF4位 ジェーソン・モロニー ( 2020年10月31日    米ラスベガスMGMグランド )

前日計量をクリアし、フォトセッションでポーズをとる井上尚弥(左)とモロニー(大橋ジム提供) 
Photo By 提供写真

 モンスターがついに聖地ラスベガスのリングに立つ。10月30日に米ラスベガスで前日計量が行われ、統一王者・井上尚弥、挑戦者ジェーソン・モロニーともに一発クリア。ハロウィーン決戦へ向け、気合を高めた。井上が契約する米興行大手トップランク社のカール・モレッティ副社長は今後も井上が軽量級戦線の主役となることにお墨付きを与えた。

 決戦に懸ける意気込みが2人の距離を接近させた。計量後の写真撮影を終えると、自然に歩み寄るようにフェースオフ。前日の公式会見では50~60センチ離れていた互いの顔が、この日は約10センチまで近づいた。およそ15秒。井上は関係者が制するまでモロニーから視線を外さなかった。

 心身ともに準備は整っている。研ぎ澄まされた肉体、そして計量台に乗る直前に軽く右手を上げる余裕。大橋秀行会長は「緊張しているでもなく、興奮しているでもなく、木鶏のようです」と太鼓判を押した。井上自身はコメントしなかったが、SNSで「この1年でパワーアップした姿を見せたいと思います」と決意を表明した。

 モンスターの聖地デビューに地元関係者の注目も高まるばかりだ。トップランク社のモレッティ副社長は「バンタム級では井上が最大のスター。他の選手が大金を稼ぎ、この階級で力を証明するためには、彼と戦わなければなりません。強い選手が対戦を望めば、私たちは試合を組みます。“誰々とは試合を組めない”という心配をする必要はないのです」と今後も井上が軽量級戦線の主役になると予想。4月に3団体統一戦を行う予定だったWBO王者カシメロ(フィリピン)がライバル社のPBCと結びつきを強め、WBA正規王者リゴンドー(キューバ)も同様だが、マッチメークの難しさは感じていないという。

 元トップランク社契約選手のパッキャオ(フィリピン)は、ラスベガスでの試合を足掛かりにビッグマッチを実現させ、世界的スーパースターになった。同じ道をたどるであろう井上とパッキャオについて、モレッティ氏は「どちらもエキサイティングなビッグパンチャーだが、井上はマニー(パッキャオ)ほど向こう見ずな戦い方はしないよ」と笑った。

 井上が「第2章のスタート」と位置付ける一戦。モンスターが聖地を震撼(しんかん)させる瞬間が近づいている。

 ▼マニー・パッキャオ フィリピン出身。井上と同じライトフライ級からプロキャリアをスタートさせ、主要4団体だけでフライ、スーパーバンタム、スーパーフェザー、ウエルター、スーパーウエルターの6階級制覇を達成した。ラスベガス初陣の01年6月にIBF世界スーパーバンタム級王座を獲得。以後、米国を主戦場とし、デラホーヤやメイウェザーらとビッグマッチを実現させた。

 【10度目の“日豪対決”】日本とオーストラリア勢の世界戦は今回の井上対モロニー戦が10戦目で、通算成績は日本の2勝7敗。初の日豪対決は1968年のファイティング原田対ローズ戦で、ローズが15回判定勝ちで世界バンタム級王座を獲得し、地元のスターとなった。モロニーはその“再現”を狙う。フェザー級に転向した原田は69年に敵地シドニーでWBC王者ファメションに挑戦し、3度のダウンを奪いながら不可解な判定負け。舞台を東京に移した再戦でも14回KO負けを喫して3階級制覇を逃し、その試合を最後に引退している。

 【レフェリーは70歳の大御所】レフェリーは70歳の大ベテラン、ケニー・ベイレス氏(米国)が担当。15年のパッキャオVSメイウェザーの“世紀の一戦”など数々の名勝負を裁き、17年には村田諒太(帝拳)が初の世界王座を獲得したアッサン・エンダム(フランス)との再戦にも立ち会っている。

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