井上尚弥への挑戦者モロニーが自信の会見「付け入る隙は見える 年間最高試合、最大の番狂わせになる」
ボクシングのWBAスーパー&IBF統一世界バンタム級王者・井上尚弥(27=大橋)が31日に米ネバダ州ラスベガスで対戦するジェーソン・モロニー(29=オーストラリア)が26日(日本時間27日)、リモート会見を開いた。モロニーはオーストラリア国旗をバックに飾り、リラックスした表情で取材に応じた。井上が契約を結び、興行を主催する米トップランク社のボブ・アラム・プロモーター(88)もコメントした。
――バンタム級の多くの選手が井上を避けたがる中で、対戦を望んだ理由は。
モロニー「誰もが最強の選手との戦いを望んでしかるべきだ。私の夢、目標はバンタム級で最高の選手になることで、そのためには井上に勝たなければいけない。ずっとこの機会を望んでいた。私は自信を持っている。彼に勝つために何をすべきか分かっているし、土曜日の夜にそれを証明したい。待ちきれないし、準備はできている」
――井上はパウンド・フォー・パウンドでもトップと認識され、同時にボクシング界で最高級に危険なパンチャーだと評価されている。付け入る隙はどこにあるのか。
「素晴らしい選手だし、彼のことは凄くリスペクトしている。おっしゃるとおり、凄いパワーを備えている。ただ、付け入る隙は見える。アグレッシブに攻め、パワーを発揮しようとする際、彼は向こう見ずになることがある。ドネアが示したとおり、彼もパンチをもらい、効かされることはある。ただ、弱点を見つけたから彼と戦いたいわけではない。井上と戦いたいのは、彼が最高の選手だから。僕にも能力はある。この機会を得るために、17年にわたって努力を続けてきた。自分を信じているし、勝つためには何でもやるつもりだ」
――接戦の末に(自分が)判定負けを喫したエマニュエル・ロドリゲスに、井上は2回でKO勝ちしている。スタイルが違うのだから、そういった結果は無関係と思うか。
「ボクシングに三段論法は通用しない。共通の対戦相手との試合結果には何の意味もない。ロドリゲスと私が対戦したのは2年前のこと。今の自分がロドリゲスや、2年前の自分と戦ったらKO勝ちするだろう。この2年間で自分がどれだけ進歩したかは分かっている。ロドリゲスと対戦した頃とは完全に別人だ」
――ラスベガスのオッズでは+600でアンダードッグ。こういう下馬評はモチベーションになるか。
「アンダードッグの立ち位置は大好きだし、人々が間違っていたと証明するのも大好き。世界を驚かせたい。多くの人が私には勝機はないと思っているのは分かっている。そのことはモチベーション、闘志になる。人々は井上やロマチェンコが無敵だと考えるが、実際にはそうではない。私たちはみんな手が2本、足が2本ある人間だ。弱点は誰にでもあるし、誰でも負けることはある。自分を信じて練習し、ガッツと勇気を持ち、勇敢に戦うことで、何が達成できるかを示したい。それができれば特別なことだし、みんなが間違っていたと示すのが待ちきれない」
――自分は(新型コロナウイルスの)パンデミックによって恩恵を受けた数少ない選手だと感じるか。
「そう思う。パンデミックが始まったとき、今年はもう試合ができないんじゃないかと危惧した。もともと4月25日に試合が組まれていたが、キャンセルになってしまった。キャリアの全盛期であるはずの29歳という年齢で、世界タイトル挑戦から見放され、試合ができないのではと考えるのは恐ろしいことだった。ただ、幸いにも私はトップランクという世界最高のプロモーターと契約し、彼らはパンデミック下でも動きを止めなかった。“バブル”の中で、私は人生最大級の2試合を戦う機会を与えられた。まず6月のバエズ戦では良いパフォーマンスができて、もっと大きな試合のチャンスを手にした。井上戦は人生最大の機会。100%の準備ができている。人生最高のパフォーマンスを見せるつもり。今年は世界中のほとんどの人にとってショッキングな年になっているが、私にとっては人生最高の年にするつもりだ」
――(前戦の)バエズ戦は実際にこれまででも最高級のパフォーマンスだった。
「あの試合の出来はうれしく思っているが、まだ自分の能力が完全に発揮できたわけではない。土曜日の試合こそが、自分が輝く時間になる。最大の舞台で、みんなが私の真価を目にするだろう。私がアンダードッグなのは、みんなが私の能力を知らないから。土曜日に輝けるのが楽しみだし、それをするのにこれ以上の舞台はない」
――2週間後には双子の弟アンドリューが、一度は失った世界タイトルに再び挑戦する。ほぼ同時期に兄弟が人生最大の試合に臨むことについて。
「特別なことだ。17年前、私とアンドリューは一緒にボクシングジムに足を踏み入れた。一緒にハードワークを続け、多くの犠牲を払ってきた。多くのアップ&ダウンがあり、ジェットコースターに乗るようなキャリアを一緒に過ごしてきた。多くの血と汗と涙も流してきた。3週間後には2人合わせて4つの世界タイトルを持ち、オーストラリア行きの飛行機に乗り、友人、家族やずっとサポートしてくれた人たちと一緒に祝うつもりだ。そうなれば、長年のハードワークと犠牲が報われる。今週末は私、11月14日にはアンドリュー(が世界タイトルに挑む)。とてもエキサイティングなことだし、さらに大きなモチベーションを私に与えてくれる」
――井上のパワーに対処するために、どんなスパーリングパートナーを呼んだのか。
「彼は特筆すべきパワーを持っているが、私も同じ(くらいパワーがある)と信じている。オーストラリアでも良いスパーリングが積めたし、ラスベガスのトレーニングキャンプでは5人のパートナーを交替で起用してきた。そのうち3人は現在も同じ家で暮らしている。彼らには井上のフィルムを見てもらい、スパーリングのリング上では彼の動き、パンチの真似をしてもらっている。12ラウンドのスパーの際は、彼らが交代しながら新鮮な状態で向かってくる。おかげで、心身両面でこれまでで最高の準備ができている。土曜日の夜は私の人生でも最高の夜になると信じている。試合後、私の腰には(リングマガジンの世界バンタム級王座を含む)3本のベルトが巻かれ、そうなれば将来の可能性も無限大だ。これは戦いなのだから、私も打たれるのだろう。濡れることなしに泳げないのと同じだ。ただ、私は打たれ強い。これまでの約100戦の中で、効かされたことも、倒れたことも、KOされたこともない。今回は打たれるだろうし、試練も経験しなければいけないのだろうが、必要なことは何でもやるつもり。意思の強さでは上回れる。バンタム級で私以上にこの勝利を望んでいるものはいない。土曜日の夜、成功のために自分が何を克服するつもりかを見せることができるだろう」
――最後に何か言いたいことは。
「聡明なボブ(アラム)は、この試合が年間最高試合になるかもしれないと言った。実際に年間最高試合になり、最大の番狂わせになる。待ちきれないし、特別なものになるであろう試合を見てほしい」
ボブ・アラム・プロモーター「井上はとてつもないバンタム級選手であり、どのパウンド・フォー・パウンド・ランキングにも入っている。ただ、モロニーには番狂わせを起こす可能性がある。厳しいテストになるが、タフガイで、戦い方を知っていて、恐れを知らないジェーソンには井上をも倒すチャンスがあるだろう。オーストラリアのファンもそう信じているようだ。オーストラリアではこの試合がPPV(ペイ・パー・ビュー)で中継され、多くの人々が見ることになる」
――ずっと以前からモロニーに井上戦の機会を与えるつもりだったのか。
「前の試合で良い選手と対戦させた。(トップランクの)マッチメーカーたちは彼の能力について聞いていたし、(映像を)見てもいたが、どれだけの自信があって、どれだけの選手であるかをまず自分たちの目で見ることを望んだ。彼はそのテストに合格した。井上と戦わせても良い試合になるだろうと考えた。ジェーソンには井上が相手でも番狂わせを起こすチャンスがある。だからこの試合を組んだんだ」
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