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井上尚弥 実は重度のスランプだった「心と体が一致せず…」

[ 2019年6月30日 21:46 ]

5つのチャンピオンベルトをお披露目する井上尚弥 (撮影・西川祐介)
Photo By スポニチ

 WBA&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(26=大橋)がフジテレビ「ジャンクSPORTS」(日曜後7・00)に出演、年内に予定されるワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)バンタム級トーナメント決勝の相手、ノニト・ドネア(36=フィリピン)について「一番恐怖感がある」と語り、気を引き締めていた。

 この日は「師匠&弟子SP」。大橋秀行会長(54)と一緒に出演した“モンスター”井上は先月のWBSS準決勝、IBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)戦を振り返った。ロドリゲスは19戦無敗の王者。大橋会長は「もし(井上が)負けるならロドリゲスだと思っていた」と証言した。

 井上は2回に3回のダウンを奪いTKO勝ちし、ボクシングファンらには「圧勝」に映ったが、じっさいは「紙一重の勝利」だったという。

 第一ラウンド、井上が一発目のジャブを繰り出すと、ロドリゲスは右のカウンターを当ててきた。普通の相手なら様子見をするところ。「こいつ、ただものじゃない。実力がやばいぞ」。井上はいつも以上に「集中しないといけない」と覚悟した。

 2ラウンド目。井上が2度のダウンを奪ったとき、ロドリゲスはマットにうずくまりながら「ムリ、ムリ…」とセコンドに合図しているように見えた。

 井上は「コーナーで見ていた。セコンドが『立て!』と言っていた。余計なこと、言うなと思っていた」とそのときの情景を振り返り、「立ってきたらどうなるかわからない。ボクシングでは(そういう状況からの)逆転もあるので気を抜けなかった」。

 激闘の後、世界中はモンスターに震撼した。

 だが、井上の口から意外な事実も明らかにされた。数カ月前、井上は「重度のスランプ」に苦しんでいたという。

 「2戦続けて1ラウンドKOで終わっていたので、また1ラウンドKOを期待された。練習していても心と体が一致しなかった」

 元世界ミニマム級王者の大橋会長は、井上のスパーリングを見ていて「この相手なら(俺も)勝てる」と直感し、「デビュー7年目で初めてアドバイスした」という。

 結局、井上は1か月間、ボクシングから離れ、精神的にリフレッシュした状態で、リングに戻ってきた。

 一方、大橋会長は「スパーリング相手がいない」という悩みを打ち明けた。

 以前は井上のうわさを聞き、元チャンプらの猛者が「井上、どんなもんじゃい」と相手になってくれたが、そのたびに「ボコボコ」にしたので、「今では井上被害者の会が出来ちゃって…」。フライ級など三階級制覇の元世界王者で大橋ジムの先輩、八重樫東(36)も嫌がって相手をしない。やむを得ず、海外からスパーリング相手を呼ぶが、「滞在費などすごいお金がかかってしまう」と嘆いた。
 
 年内には決勝で、5階級制覇の伝説のボクサー、ドネアと対戦する。井上は「(これまで戦った相手の中で)パワーが一番ある。一番恐怖感はあります」と語った。

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2019年6月30日のニュース