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近大ボクシング部 赤井総監督で復活!名門再建へ

[ 2012年10月25日 07:47 ]

近大ボクシング部の総監督に就任する赤井英和

 2009年に現役部員が強盗で逮捕されて廃部となった近大ボクシング部(東大阪市)が、同部OBでタレントの赤井英和(53)を総監督に迎えて復活することが24日、分かった。近日中に発表される。廃部以降、OB会による署名運動、残された部員によるみそぎの清掃活動など、復活への熱意に大学側が折れた形。知名度抜群の赤井の下、かつて近畿学生リーグを36連覇した名門が再建に乗り出す。

 つるされたグローブを再びはめる時が来た。事件から3年。近大ボクシング部復活へ指揮を執るのはOBの赤井だ。

 昨年8月、日本アマチュアボクシング連盟は、元プロがアマの役員や指導者になることを承認し、高かったプロアマの壁が取り払われた。プロで世界ランカーだった赤井は申請を認められ、改正規則の適用第1号となっていた。

 同時に復活の気運も少しずつ高まっていた。09年6月の廃部決定後、残された部員たちは学内や最寄りの近鉄長瀬駅から大学までの商店街を清掃活動。「反省」を行動で示しながら、閉鎖された学内の練習場の代わりに大阪市内のジムに通って練習を続けていた。

 さらに翌10年2月には赤井を含むOBらの尽力で、復活を望む4万人以上の署名を提出。大学側が処分を覆すことはなかったが、熱意は確実に届いていた。当時、赤井は本紙の取材に対し「リングに立てない悔しさはOBみんな共感してる。長い伝統を守ってきた関西ボクシング界の雄。ぜひ復活してほしい」と思いを吐露していた。

 部員も卒業などで徐々に減り、今春からは4年生が1人だけ。伝統の灯を消すまいと、今年3月7日にはOB会が復活の嘆願書を提出。世話人代表として赤井も名を連ねた。

 それらの粘り強い活動と、廃部から丸3年が経過したことで、ついに大学側も動いた。復活の象徴として、総監督に赤井の招へいを決定。“浪速のロッキー”の愛称で親しまれた強打者が赤井2世の育成に腕を振るう。

 ただ、部が復活しても道のりは平たんではない。毎年5~6月開催のリーグ戦には来年から復帰できても、3部から再出発する近大にどこまで有力選手が集まるか未知数だ。まずは1部復帰が当面の目標になる。真の復活という果てしなきゴールに向け“赤井丸”が大海原へこぎ出す。

 ▽事件VTR 2009年6月、東大阪市の路上で通行人に因縁をつけて暴行、現金を奪う事件が発生し、同17日に部員2人が強盗容疑で逮捕された。翌18日に近大は廃部を決定。パチスロなどに使っていた2人は強盗致傷や恐喝など計17件の罪に問われ、実刑判決を受けた。翌10年7月、ボクシング部OB会は大阪・心斎橋のスポニチプラザ大阪で意見交換会を開き、赤井以外に石田順裕、名城信男の世界王座経験者ら30人が出席。「ボクシングという誤解されやすいスポーツで、拳を凶器にすることは許されない」と赤井は指摘した。

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2012年10月25日のニュース