阪神・熊谷敬宥 殊勲V打の裏に「進化した思考」 凡退時の負の心情を前向きな反省に転換

[ 2025年8月23日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神3―1ヤクルト ( 2025年8月22日    神宮 )

<ヤ・神>延長10回、勝ち越しの2点打を放った熊谷(左)(撮影・須田 麻祐子)
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 熊谷の魂が白球に乗り移り、遊撃・長岡のグラブをはじいた。1―1の延長10回。1死から大山、高寺の連打、坂本の四球で築いた満塁機に「虎の職人」が決めた。見逃し2球で追い込まれながら、4球粘った末の7球目、外角低めのスライダーに食らいついた。高くバウンドした打球は、前進守備の二遊間へ。殊勲の2点打。立大時代にも躍動した神宮で、拍手喝采を浴びた。

 「本当は初球から打ちにいきたかったが、みんながつないでくれたので、バットに当てれば点が入るかな、と思った。運良く(中前へ)抜けてくれた」

 先発は右腕・高梨。これまで左打ちの小幡が起用されてきた「対右」でも先発遊撃を託された。「深くは考えていない」と言いながら、意気に感じない方がおかしい。加えて、決勝打までの4打席で2三振。5回1死三塁で放った三ゴロで村上の失策を呼んだとはいえ、7回無死一塁では初球のバントファウルから3球三振。リベンジにうってつけの土壇場で、29歳は燃えた。

 「追い込まれていたけど、必死に食らいついていくだけだった」

 円熟味を増した技術に加え、思考も進化した。23、24年とも与えられたのはわずか9打席。だから凡退時には「あの球を打てば良かった」と負の心情が支配した。一方、既に91打席に立つ今季は「あの球を“こう打てば”良かった」と、前向きな反省ができる。自らつかんだ信頼と出番。簡単には手放さない。

 伏兵の快打で、ヤクルト戦の今季シーズン勝ち越しに加え、同戦通算1000勝も刻んだ。2年ぶりとなる夏の長期ロードも勝率5割以上が確定。優勝マジックも「19」だ。ゴールの瞬間が、くっきりと見えてきた。 (八木 勇磨)

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